山陰海岸の世界ジオパーク認定が「条件付き」に ユネスコ、岩石の販売を指針に反すると指摘

会見する山陰海岸ジオパーク推進協議会の中瀬宏ゼネラルマネジャー=県豊岡総合庁舎

 山陰海岸ジオパーク推進協議会(事務局・但馬県民局内)は12日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)による世界ジオパークの再認定が「条件付き」となった理由を説明した。代表的な見どころの玄武洞公園(兵庫県豊岡市赤石)近くの施設で岩石や化石などを販売する点が、世界ジオパークの指針に反しているといい、2024年の再審査に向けて事業者と協議を続ける考えを示した。

 同協議会によると、指針はジオパークの地質学的な遺産を守るため、運営主体が鉱物などの売買に関わることを産地に関係なく禁じ、域内での取引も防ぐよう求めている。鉱物の商行為を理由に条件付きとなったのは、世界ジオパークがユネスコの正式プログラムになった15年以降、国内では山陰海岸ジオパークが初めて。

 ユネスコが問題視したのは「玄武洞ミュージアム」(同)に隣接するミュージアムショップでの鉱物などの販売だった。世界ジオパークの認定前から岩石などを売っており、同協議会は当初から販売中止への話し合いを重ねていた。

 ミュージアム側も鉱石以外の取り扱いを増やすなど対応。ミュージアムの代表者は販売で経営を支えるとともに「本物に触れてもらうことで地球を大切に思う気持ちが育まれ、保護保全につながる」などと説明しているという。

 同協議会の中瀬宏ゼネラルマネジャー(63)は「(ユネスコの)報告書は商行為を妨げる内容ではなく、ジオパークの理念と事業者の理念をすり寄らせていく努力が協議会に求められていると理解している」と話した。(阿部江利)

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