「早く再稼働を」「安全が第一」浜岡原発停止から12年 地元の思い複雑に交錯=静岡・御前崎市

静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所が政府の要請によって停止してからまもなく12年です。岸田政権によって原発政策が大きく転換しようとする中、地元では政府の動きをけん制する声と再稼働を期待する声が交錯しています。

<市民団体>

「浜岡原発停止の12年にきて、浜岡原発の安全に対して政府が挑戦をしてきている」

浜岡原発の廃炉を求める市民団体は5月12日、静岡市の街頭で浜岡原発の「再稼働反対」を訴えました。12年前から毎年続ける恒例の活動です。

<菅直人元総理>

「浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請いたしました」

福島第一原発の事故を受けて2011年5月、当時の民主党政権の要請に応じ、浜岡原発すべての原子炉が停止しました。

<山口駿平記者>

「浜岡原発の稼働停止からまもなく12年です。再稼働のメドは現在もたっていません」

12日の浜岡原発。中部電力は福島第一原発の事故を受け、津波対策として防潮堤を22mにかさ上げするなど安全対策を強化していますが、原子力規制委員会による審査はまだ続いています。

<岸田文雄総理大臣>

「現在直面するエネルギー危機に対応した政策を加速していくためには、国民や地域の信頼を積み上げていく地道な取り組みも不可欠」

岸田政権はいま、原発政策の大転換を図っています。これまで原発の運転は「原則40年、最長60年」でしたが、再稼働審査などで停止していた期間を除くことで事実上60年を超えて運転できる法案を閣議決定し、国会で審議入りしています。

全国の原発に目を移すと、再稼働の動きが進んでいます。33基ある原発のうち、10基が原子力規制委員会の審査をクリアしてすでに再稼働。このほか7つの原発が審査を終え、再稼働の日を待っているのが現状です。

<御前崎市 柳沢重夫市長>

「(停止期間は)点検の業者も減りますので、市内経済にも大きな影響があったのではないかと。昨年(2022年)も規制庁の方に何回も出向きまして、迅速な審査をお願いしたところではありますが、あわせて中部電力の方にも規制委員会の求めに応じて迅速に真摯に対応してほしい」

御前崎市長は再稼働の可否については明言を避けました。地元住民は。

<市民>

「また稼働してもいいかなと思っている。電気料がかなり高くなっているので」

「再稼働を早くしてもらいたいね。従業員だって解雇されたら、この町はどうなっちゃう?国で面倒見てくれる?頼るのは原発オンリー」

「子どもがいるので、まず安全を第一にしてほしいなというのがあります。地震とか津波とか来た時にその辺の対策ができていないと再稼働は怖いかなと思います」

停止から12年。昨今の電気代の高騰などもあり、浜岡原発の再稼働に対する県民の考え方は複雑に交錯しています。

© 静岡放送株式会社