埼玉中小企業家同友会【設立50周年・地域に生きる(5)】PLAMO・茂木淳志社長、収益生んだ樹脂の魂

独自技術で作ったIMPブロックを両手に持つPLAMOの茂木淳志社長

 埼玉県内の中小企業経営者らが加盟する埼玉中小企業家同友会(会員約千人)が今秋、設立50周年を迎える。経営を学ぶ「社長の学校」として1974年に設立。コロナ対策に加え、原材料費やエネルギー価格の高騰を受けながら、地域の課題解決をビジネス化し、「ウィズ・コロナ」を見据えた新事業を展開するなど個性的な企業が多く集まる。人を生かし地域に生きる地元企業16社を紹介する。

■PLAMO(本庄市)茂木淳志社長

 IMP工法にIMM工法。この聞き慣れない横文字の技術こそ、プラスチック樹脂加工のPLAMOが「オンリーワン企業」たるゆえんだ。主力事業は車や家電大手への部品の供給。それにとどまらず独自技術の開発を目指してきた。「驚きのある製品を作ろう。他ではできないものを作ろう。それが原動力」と茂木淳志社長(62)が説明する。

 プラスチック樹脂を金型に流し込んで固める射出成形の際にできる気泡や裂け目。これらの欠陥をなくす画期的な技術がIMP工法。製品の軽量化やコスト削減で金属部品の樹脂化が進む中、10年ほど前に開発に着手した。強度が高まるだけでなく、より多くの素材に対応でき、他の方法に比べて安価で納期も短い。

 IMPで作った樹脂の塊を公開したところ、部品の試作に使いたいと思わぬ依頼が舞い込んだ。「そういうマーケットを初めて知った。ひょうたんから駒だった」。今ではこの厚肉のIMPブロックが切削用の加工素材として重宝され、全国に出荷。同社の利益の約7割を占める柱になった。

 IMM工法も同様に、樹脂が接着する部分の強度低下を改善することに成功。車や家電製品の軸を回転させる部品の受注と量産につながった。

 1961年、父豊章さんが製作所を創業。2005年に社長に就くと、大手の下請けとして順に仕事が回ってくる業界の在り方に疑問を感じ、「開発型の会社」に転換を試みた。水道メーターの金属部品の樹脂化など新たな成長分野も発見し、海外展開を見据えて社名も変更した。「メーカー頼みから脱却する。部品ではなく製品を開発していきたい」。そこに技術力への確信、製造業の意地がのぞく。

© 株式会社埼玉新聞社