勝田貴元、まさかの初日デイリタイア。トップ3に迫った直後にマシントラブル/WRCポルトガル

 5月12日(金)、ポルトガル北部ポルト郊外のマトジニョスを拠点に、14日(日)までの日程で行われるWRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』が競技初日を迎えた。デイ1の序盤3つのスペシャルステージ(SS)を終えた時点での総合首位は、Mスポーツ・フォードWRTのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(フォード・プーマ・ラリー1)。これを3.0秒差で“最年少王者”カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が追っている。

 この第5戦から7ラウンド連続する“グラベル(未舗装路)ラリー連戦”の最初のイベントであるラリー・ポルトガルは朝から晴天に恵まれ、ドライコンディションでの戦いに。ステージの一部では走行後のダスト(砂埃)が収まらず、後続車の視界に影響しそうな様子も確認できた。

 そんななか、ミッドデイサービスが設定されていない初日の区切りとなるタイヤフィッティングゾーンに総合首位で辿り着いたタナクは、総合3番手で迎えたSS2でステージウインを飾り、チームメイトであるピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)と、ヒョンデの“仕事人”ダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)を逆転。SS3でも2番手タイムを記録するスピードを見せている。

 一方、オープニングのSS1でトップタイムを奪ったルーベはSS2を5番手タイムで終えた直後、総合3番手で迎えたSS3で車内から煙があがるアクシデントに見舞われ10秒以上のタイムを失った。幸い火の手は上がらなかったものの、フィニッシュ直後にはコドライバーシート付近でオフィシャルとともに消火活動を行う姿が公式映像に映し出された。なお、ルーベ組は競技を続行している。

ピエール-ルイ・ルーベ/ニコラス・ギルソウル組(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第5戦ラリー・ポルトガル

 大会連覇と2023年シーズンの初優勝を狙うロバンペラは、最初のSS2本で4番手タイムを記録した後、SS3で今大会初のステージウインを達成。タナクのタイムを2.8秒上回るとともに総合順位も3番手から2番手に上げ、その差を3秒ちょうどとしている。3番手に下がったソルドとは0.6秒差だ。

 ヒョンデの“エース”であるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と、前戦ウイナーのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、ともにSS3で複数のポジションアップに成功した。これは前述のルーベのタイムロスに加えて、勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)が出走できなかったためだ。

 第2戦スウェーデン以来、今季2度目のワークス参戦を果たしている勝田は、SS1からマシンにトラブルを抱えながらもSS2で3番手タイムを記録し首位と5.6秒差、直前のライバルとはわずか0.6秒差の総合4番手でSS3を迎えるはずだった。しかし、彼のマシンはSS3のスタートを前に無情にもストップ。2年連続4位となっていたポルトガルでの表彰台獲得を目指していた勝田は、ラリーの序盤でデイリタイアを余儀なくされている。

■2023年WRC世界ラリー選手権第5戦ラリー・ポルトガル暫定結果 SS3後

Pos. No. Driver Machine Gap

1 8 O.タナク フォード・プーマ・ラリー1 33’56.4

2 69 K.ロバンペラ トヨタGRヤリス・ラリー1 +0’03.0

3 6 D.ソルド ヒョンデi20 Nラリー1 +0’03.6

4 11 T.ヌービル ヒョンデi20 Nラリー1 +0’14.6

5 33 E.エバンス トヨタGRヤリス・ラリー1 +0’18.0

6 7 P-L.ルーベ フォード・プーマ・ラリー1 +0’18.8

7 4 E.ラッピ ヒョンデi20 Nラリー1 +0’26.5

8 25 A.フルモー(WRC2) フォード・フィエスタ・ラリー2 +1’34.9

9 24 A.ミケルセン(WRC2) シュコダ・ファビアRSラリー2 +1’41.0

10 21 O.ソルベルグ(WRC2) シュコダ・ファビアRSラリー2 +1’41.8

R 18 勝田貴元 トヨタGRヤリス・ラリー1 TC3

※リザルトは編集部集計

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