馬毛島基地工事 最大6000人滞在 生活への影響は? 防衛省「可能な限り小さく」 ごみは島内処理、仮設宿舎に看護師常駐 市長は金銭補償も視野

 鹿児島県西之表市馬毛島で進む自衛隊基地整備について、防衛省は12日、市役所であった市との協議で、工事関係者の人数がピーク時で最大6000人に上る見通しを示した。市と防衛省の協議は4カ月ぶりで、基地本体工事が始まってからは初めて。生活への影響を懸念する市民らの声を受け、同省が示した対応は工事受注者への指示の徹底が中心で、設備投資は馬毛島に限られた。

 同省の原田道明参事官は、ごみ処理について地域のルールに従うよう工事受注者に指示したことを強調。ごみの削減や分別のため、責任者を置くとした。馬毛島で出たごみは島内での処理を原則とし、簡易焼却炉などを設置する。

 工事車両の通行ルートに学校がある場合は、登下校時に交通誘導員を配置。「交通法規の順守や私生活でトラブルがないよう、累次にわたって工事受注者に指示している」と説明した。

 離島の医療態勢への影響も懸念されており、馬毛島の仮設宿舎に医務室を設置し、既に看護師1人を常駐させたという。医師の定期巡回も検討している。

 原田参事官は報道陣に、今回の回答が「終わりではない」としつつ、「可能な限り影響を少なくするという観点でまとめた」と話した。八板俊輔市長は金銭補償も視野に入れる考え。

 防衛省は同日、基地整備で生活への影響が懸念されるとし、対策を求める要望書を出していた中種子、南種子両町と県庁も訪れ、内容を説明した。

基地整備では種子島を含め最大約6000人の工事関係者が滞在する=1月12日、西之表市馬毛島(本社チャーター機から)
〈図〉馬毛島で進む工事の予定が分かるスケジュール表

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