厚木市及川2丁目の「及川伊勢宮遺跡」でこれまで円墳とみられていた墳丘が、実際は全長37メートルの前方後円墳だったことが「かながわ考古学財団」の発掘調査で分かった。前方部の高まりは失われているものの、周囲の溝などを発掘して判明した。前方後円墳全体が調査エリアに含まれていることから、同財団では古墳を取り巻くように見学コースを設け、市教育委員会と共催で20日に見学会を実施する。
発掘調査は厚木秦野道路建設に伴い同財団が実施している。同財団や市教委文化財保護課によると、前方後円墳と方墳、円墳など計4基の古墳が発見された。
遺跡には地面の高まりが残されており、発掘調査前から円墳ではないかとみられていた。一方、それまでの調査で、この墳丘から少し離れたエリアでは溝が発見されていた。
昨年5月、同遺跡では中世から近世にかけての「地下式坑」と呼ばれる遺構の見学会を実施。この段階でも財団は墳丘を円墳とみていたものの、周囲の溝を発掘していくと離れたエリアで見つかっていた溝につながることに気付いた。発掘を進めると、全体が鍵穴型の前方後円墳であることが、昨年12月ごろに判明したという。
財団によると、前方後円墳が見つかったのは市内で4つ目。近くを流れる荻野川流域では初めてという。「前方後円墳は日本独特の形式であり、この地域のリーダー格の墓ではないかと考えられる」と財団では推定している。
別の方墳は一辺14メートルで、火山灰とともに土器が出土した。
見学会は午前10時からと午後1時半からの2回。松蓮寺バス停から徒歩5分。駐車場はない。問い合わせは同課電話046(225)2509。