京都・京田辺の障害者事業所で虐待 市が認定も事業所側は否定「事実無根」

京田辺市役所

 京都聴覚言語障害者福祉協会(京都府城陽市寺田)は12日、運営する京田辺市興戸の障害者就労支援事業所「さんさん山城」で、職員による利用者への心理的虐待などがあり、京都府に改善報告書を提出したことを明らかにした。これに対し、事業所の管理者らは「虐待は一切行っていない。事実無根」と否定している。

 同協会や事業所によると、事業所内で複数回金銭トラブルを起こした利用者に職員が「今度同じことがあれば、施設を利用できない」と指導。昨年10月に契約解除を宣告し、利用者は施設に来なくなったという。

 これを把握した京田辺市は、職員が利用者を心理的に追い詰め、必要な支援を怠ったなどとして心理的虐待と放棄・放置(ネグレクト)を認定した。府は同協会に対して原因解明や再発防止計画の提出を求め、協会は9日付で改善報告書を提出。経緯の報告とおわびのコメントを高田英一理事長名で12日にホームページに掲載した。

 一方、事業所側は京都新聞社の取材に対し「立ち直りを期待して丁寧に対応を続けてきた。その後も別のトラブルが明らかになり、施設で仕事を続けるのが難しいと伝えた」とする。利用者本人もその後、事業所側に謝罪したなどとして「何を持って心理的外傷とするのか分からない」と否定した。契約解除後も関係者で支援を協議しており、ネグレクトにも当たらないと主張している。

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