“金足農旋風”母校に帰る 立役者の一人・高橋さん、春から農業講師

母校に農業講師として帰ってきた高橋さん(秋田市で)

金農球児、母校に帰る――。2018年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で秋田県立金足農業高校(秋田市)の準優勝に貢献した高橋佑輔さん(22)が、農業講師として母校に帰ってきた。高橋さんは、生きる上で欠くことのできない「農や食の大切さを伝えたい」と力を込める。

継続力、食の大切さ伝えたい 高橋さんは5年前の夏の甲子園で、6番一塁手として全6試合に出場。強豪相手に逆転本塁打を放つなど勝負強い打撃で、“金足農旋風”の立役者の一人として活躍した。

レギュラー部員で唯一、畜産動物を扱う生物資源科に所属。週2回、鶏や豚、牛の世話をしていた経験から「いずれは母校で農業教師になりたい」という夢を持っていた。

同校卒業後、東京農業大学生物産業学部(北海道網走市)に進学。数多くのプロ野球選手を輩出する強豪の同大野球部に所属しながら、北海道で盛んな畜産や畑作などを学び、卒業論文はホップについて研究。同時に教員免許を取得した。

4月から同校の生物資源科1年の副担任を務め、「畜産」「農業機械」「農業と環境」など計7科目を週20時間教える。

金足農旋風の立役者の一人として活躍した5年前の高橋さん(中)(兵庫県西宮市で) 高校時代は、鶏の平飼いとケージ飼いの課題研究に打ち込んでいたため、畜産動物に対する思いは人一倍強い。「命ある畜産動物を、生産者が苦労して育て加工している。毎日ご飯が食べられていることが、当たり前ではないことを教えたい」と強調する。

甲子園準優勝の経験から「目標を立てて達成するために努力し続けることの重要性を教えたい」と話す。

高校時代の高橋さんに、畜産を指導した同校の近江広和農場長は「高橋先生は甲子園で準優勝するなど、他の人がまねできない貴重な経験をしてきた。それらの経験を生徒たちに還元してほしい」と期待を込める。 前田大介

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