中津市と吉富町結ぶ「山国橋」、土木遺産に認定 れんが積みの橋脚美しく【大分県】

土木遺産に認定された山国橋。れんが積みの橋脚が美しい=福岡県吉富町
山国橋を土木遺産に認定した土木学会から大分、福岡両県に贈られた銘板
山国橋の地図

 【中津】大分、福岡両県境の山国川最下流域に架かり、れんが積みの橋脚が美しい山国橋が、公益社団法人土木学会(東京都)の2022年度選奨土木遺産に認定された。太平洋戦争前に造られて約90年たった今でも現役で、中津市と福岡県吉富町を結ぶ幹線道路の役割を担い続けている。

 1934年に県道中津吉富線に架けられた鉄筋コンクリート構造の橋。山国川に架かる橋の中では最も河口に近い。長さ213.9メートル、幅8.5メートル。現在は使われていない「ゲルバー桁」構造で、12基ある橋脚には赤れんがが用いられている。福岡県側の橋脚にはアーチ状の穴が二つ開き、デザイン性を高めている。

 中津市と吉富町は同じ生活圏で通勤・通学などでの往来が多く、山国橋の1日当たりの交通量は1万5千台を超える。河口側には人と自転車用の側道橋が80年に架けられた。

 認定書と銘板を受け取った県中津土木事務所の田中修所長は「先輩技術者の技術力の高さと先見性がうかがわれる。今後も維持管理に努め、歴史的、文化的な価値を高めていきたい」と話した。

 土木遺産は2000年に創設。国内に現存する重要な土木建築の技術的・社会的・文化的価値を評価し認定する。22年度までに全国で496件が認定され、県内では山国橋が7件目。

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