G7記念 長崎大など国際シンポジウム 国境、業界の枠超え連携を

温暖化など気候変動と健康の関係について話す専門家ら=長崎市文教町、長崎大

 長崎大などは12日、先進7カ国(G7)保健相会合の長崎市開催を記念した二つの国際シンポジウムを同市内で開いた。テーマは「顧みられない熱帯病(NTDs)」と「プラネタリーヘルス」。世界各国で課題解決や研究に取り組む関係者が集まり、現状を報告し議論を深めた。
 同市内のホテルで開いたNTDsのシンポジウムには17カ国からオンラインを含め計約250人が参加。NTDsはデング熱やシャーガス病など約20の熱帯感染症を中心とした疾患群で低所得国の年間16億人以上に影響を与えている。
 世界保健機関(WHO)の担当部長や治療薬開発に取り組むNGO代表、製薬業界関係者らが登壇。資金提供、薬の開発、流通の改善など各分野の関係機関が連携し、多くの国で制圧に成功している事例などを報告した。新型コロナ対策でNTDs対策の優先度が下がる傾向だが、今後も国境や業界の枠を超えて連携することの重要性を再確認した。
 長崎大では、長崎プラネタリーヘルス専門家会合があり、温暖化などの気候変動と健康の関わりなどについて専門家が報告。世界では大気汚染が原因で年間700万人が死亡していることや、このまま温暖化が進むと熱中症による死亡がさらに増え、蚊が媒介する疾患が広がることなどを解説した。
 長崎大の河野茂学長が基調講演。2021年度から全学部の新入生約1700人を対象に「プラネタリーヘルス入門」を必修科目にしていることなどを報告。世界的にも珍しい取り組みと明かした。

© 株式会社長崎新聞社