焼失の西宮社 社殿再建へ 全国から寄付7600万円 氏子らの奔走実り月内着工

多くの支援が集まり本殿の再建が決まったことを報告した氏子ら=佐賀市北川副町の西宮社

 2年半前に放火に遭った佐賀市北川副町光法の西宮社で、焼けた社殿の再建が決まった。祭神にちなみ「立ち上がれえびす」をかけ声に奔走してきた氏子らの活動が実り、再建応援の寄付が地元や全国から続々と集まり、目標の7600万円を確保した。今月下旬に着工する。

 西宮社は五穀豊穣(ほうじょう)を願う地域の人々から信仰されてきたが、2020年11月に放火され、木造平屋の社殿が燃失した。「自分の家が燃えたようなもの」。焼け落ちた社殿の姿を見た住民から、悲しむ声が聞かれていた。

 翌21年2月、総代だった西村俊光さん(72)を委員長として「鎮西西宮社再建委員会」が発足した。地区を回って説明会を開き、寄付への理解を求めてきた。クラウドファンディングでも資金を募って「立ち上がれえびす像」を建立するなど、再建に向けた活動を展開した。

 委員会は、兵庫県西宮市の総本社にも協力を依頼して、募金箱を設置。えびす様を信仰する全国の人たちからの賛助会費も届いた。今年3月末までに延べ1千人を超える支援が集まり、建設業者との契約にこぎ着けた。今月下旬に起工式(地鎮祭)を執り行う。

 7日の「大願成就まつり」で再建が報告された。西村さんは「地元をはじめ全国から協力があり、目標の金額が集まった。地域の歴史を受け継いでいくため、大変喜ばしい」と笑顔を見せ、西宮社の日吉高明宮司は「燃えてなくなってしまったところから、またご参拝いただける環境が整うことになり感謝したい」と語った。

 社殿の完成は来年2~3月ごろを見込む。

      (中島幸毅)

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