中国、高速増殖炉の建設最終段階 軍事転用で核戦力強化か

中国福建省霞浦県で建設が進む高速増殖炉の衛星写真=2022年9月30日撮影(Maxar Technologies/笹川平和財団・小林祐喜研究員提供)

 中国福建省で、核兵器に使える高純度のプルトニウムを生成できる高速増殖炉の建設が最終段階に入ったことが13日、衛星画像で分かった。年内の稼働が見込まれ、本格運転すれば年間100発超の核弾頭を製造できる量のプルトニウムが生み出されるとされる。中国は核施設の査察義務がなく、民生用の核物質を軍事転用する可能性が高い。国際社会の監視機能が働かない中、核戦力強化の懸念が強まっており、G7広島サミットで議題となる見通しだ。

 国有企業の中国核工業集団が福建省霞浦県で高速増殖炉「CFR600」を建設。計2基のうち1号機は2017年、2号機が20年に着工した。笹川平和財団が入手した昨年9月30日の衛星画像によると、主要なタービン建屋が完成したことが判明、それぞれ23年と26年の稼働が見込まれる。

 電気出力は日本の高速増殖炉「もんじゅ」の約2倍の60万キロワット。専門家によると、核兵器に用いる純度の高いプルトニウムを年間200~300キロ生成。核弾頭にすると、100~200発程度の製造が可能な量という。

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