夫との死別乗り越え リスキリングで起業のシングルマザー

流行語大賞にノミネートされるなど注目される「リスキリング」。「学び直し」を表す言葉で、出産や子育ての負担が大きい女性のキャリア育成にもつながります。夫との死別を乗り越え、リスキリングによって起業した都内のシングルマザーの女性に密着しました。

都内で中学2年生の息子と小学5年生の娘と暮らす、御園生梓さん。夫は5年半の闘病の末に2年前、がんで亡くなりました。それまで御園生さんは収納のコンサルティング会社に勤め、仕事と育児、そして夫の看病を両立させていました。

御園生さん:「夫の闘病と育児をメインで、少しだけお仕事回してもらって、在宅で仕事をしていました」

夫の死後、職場復帰しましたが、「死別うつ」を発症し、休職を余儀なくされてしまいます。

御園生さん:「休職して何もできない中で、辛い治療の中でもすごく自分らしく生きている人たちがたくさんいることを思い出しまして、もやもやしてるくらいなら自分のやりたいことをやってみようと」

静養を続ける日々の中で一念発起した御園生さんは、去年11月、女性の起業を応援するオンラインセミナーに入会。会社を設立した経験を持つ講師陣から、事業戦略や新規顧客の開拓の仕方といった起業に必要な知識を学びました。そして今年4月、夫の命日に起業しました。

御園生さん:「命日を悲しいだけの日にしたくなくて、第2の人生のスタートにしようと思って」

過去に取得していた「住空間収納アドバイザー」と「2級建築士」の知識と講師からの指導を元に、立ち上げたのは新築住宅を作る際にアドバイスする事業です。住み始めてから困ることはないか、間取りの図面だけでは気づきにくいポイントを指摘し、サポートしています。

そして、起業した後もセミナーの受講を続け、顧客を継続して獲得するためのSNSの活用方法など、さらなるスキルアップを目指す御園生さん。子どもの存在が力を与えてくれているようです。

御園生さん:「例えば申し込みが来た時、お問い合わせが来た時に一緒にすごく喜んでくれます。「お母さんおめでとう」「やったじゃん頑張れ」っていうのをすごく言ってくれる」

自分の人生に新たな可能性を生みだす「リスキリング」、その機会が社会に広がってほしいと御園生さんは話します。

御園生さん:「案外やってみたらできるよっていうのは、私もまだまだですけど、後悔するぐらいなら一歩踏み出してやってみるのがいいかなと思います」

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