日本初の女性絵本作家とされる「居初つな」知って 優しい色合いで多彩な表現

柔らかなタッチで描かれた百人一首などが並ぶ会場(京都府八幡市八幡・松花堂美術館)

 日本初の女性絵本作家とされる居初(いそめ)つなを紹介する企画展が京都府八幡市八幡の松花堂美術館で開かれている。流れるような書とかわいらしい絵で訪れた人の目を楽しませている。

 居初つなは、江戸時代前期の17世紀後半、現在の大津市に生まれた女性。大津や京都で奈良絵本や絵巻、女性向けの教養書を執筆したとされる。同館によると、当時活躍した奈良絵本や絵巻の作者で、名前が判明している女性は他にいないという。

 企画展は「世界初の女流絵本作家? 居初つな―かわいい♡に恋する」と題し、これまであまり注目されなかった居初つなに初めて焦点を当てた。個人の所蔵品を中心に、約30点を展示している。

 若い女性向けに書かれた「女実語教 女童子教」は、2冊組の教訓書。人との接し方や、礼儀作法などを挿絵付きで分かりやすく説いている。

 奈良絵本の「鉢かづき」は、優しい色合いで物語を表現する。一枚一枚を豊かな表情で描いた百人一首は、多彩な表現を楽しめる。

 担当の川畑薫主任学芸員は「女性を応援しているような居初つなの作品をぜひ知ってほしい」と話す。

 5月21日まで(月曜休館)。有料。同館075(981)0010。

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