体当たり取材45年 茨城・桜川出身 「オバ記者」野原さん 興味追求、読者から共感

執筆中の「オバ記者」こと野原広子さん=東京都内

「オバ記者」の愛称で親しまれる茨城県桜川市出身のフリーライターがいる。野原広子さん(66)=東京都在住=は女性誌やウェブで連載記事を持ち、体験ルポや主婦の証言集、闘病記などを題材につづる。自身の興味と関心を追求したネタが読者の共感を呼んでいる。

幼少の頃から「文章だけは褒められた」(野原さん)。近所の理髪店に常備の週刊誌が愛読書で、自然と物書きを志した。地元の高校を卒業後、上京して記者養成の専門学校に入り、出版社を経てフリーライターになった。

ライター歴45年。女性誌や週刊誌、ウェブで執筆してきた。夫の悪口や離婚などを巡る主婦の証言シリーズや「万引Gメン」の体験談などを手がけた。生々しい描写が反響を呼び、頭角を現した。

体験ルポも得意とし、自らモデルとして誌上に登場。富士山登山やアイドルグループなりきり、ギャル変装、お笑いライブ出演などにも挑戦した。野原さんは「恥ずかしさは一切ない。私の興味がないことを書いても読者は面白くないはず」と興味、関心事を追求してきた。

体当たりを身上とする野原さんに「オバ記者」の愛称が定着した。街を歩くと、読者から声をかけられるまで浸透した。女性誌を舞台にしたNHKドラマでは制作スタッフから「逆取材」を受け、構成に反映された。さらにエキストラ出演も果たし、体験ルポのネタにした。

最近では自身の病気による手術からリハビリ、母親をみとるまでの介護記をしたためる。友人の死も経験し、「老い」や「終活」をテーマに書く。野原さんは「死が身近になり、やり残したことはないか考えるようになった。これからはふるさとの魅力も書きたい」と茨城の取材を展望する。

© 株式会社茨城新聞社