復帰51年「再び戦場に」懸念も 沖縄、台湾有事備え防衛力強化で

米軍普天間飛行場の移設工事に反対し、キャンプ・シュワブのゲート前で抗議する人たち=15日午前、沖縄県名護市辺野古

 日本復帰から15日で51年を迎えた沖縄県は、太平洋戦争末期の凄惨な地上戦や米施政権下の時代を乗り越え、復帰後に経済発展を遂げた。だが近年は中国の侵攻による台湾有事が取り沙汰され、政府は南西諸島防衛強化の方針を掲げる。県内では「沖縄が再び戦場になるのでは」との懸念が出ている。

 政府は昨年末の安全保障関連3文書改定に基づき、那覇駐屯地に拠点を置く陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げする方針。今年3月に陸自石垣駐屯地を開設し、地対空、地対艦ミサイルの運用部隊を配備した。台湾から約110キロの与那国島にも新たに地対空ミサイル部隊を置くとしている。

 2~3月には米海兵隊と陸自が九州・沖縄で離島奪還訓練を展開。日本では初実施となり、台湾有事が念頭にあるとされている。

 県内の自衛隊施設面積は、復帰当時の1972年5月時点から21年3月には約4.7倍に拡大した。

 19年に駐屯地ができた宮古島市の女性は当初、自衛隊誘致に反対していなかったが、最近の防衛強化の動きに「市民が置き去りだと感じる」と打ち明ける。

沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で普天間飛行場の移設工事に抗議する人たち。1972年の日本復帰から51年、広大な米軍基地の存在に加え近年は県内の自衛隊基地強化も進んでいる=15日午前

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