上場地銀75社の6割増益 3月決算、貸し倒れ費用が減

上場地銀75社の23年3月期決算

 東京証券取引所などに株式を上場する地方銀行・グループ75社の2023年3月期決算が15日、出そろった。融資の貸し倒れに備える与信関係費用が減り、6割に当たる45社は純損益の黒字が前期より増えた。1社は前期の赤字から黒字に転換した。ただ米国の大幅な利上げに伴って、投資目的で保有する、米国債をはじめとする外国債券の含み損が拡大し、経営の重荷になっている。

 与信関係費用の減少は、新型コロナウイルス禍を受けて政府が導入した実質無利子・無担保の中小企業支援策「ゼロゼロ融資」で倒産が減ったことが要因だ。ゼロゼロ融資は夏ごろに返済が本格化する見込み。原材料費の価格高騰の影響と相まって、返済に窮する企業が相次ぐ可能性がある。

 金融機関の資産運用を支援する日本資産運用基盤グループ(東京)によると、地銀が運用する外債と投資信託などの含み損は23年3月末で計1兆1618億円となり、1年前と比べ約1兆円増えた。企業倒産が増える恐れがある中、規模が小さく体力に乏しい地銀を中心に経営の先行き不透明感が続きそうだ。

© 一般社団法人共同通信社