J1鹿島の応援、活力源 現地で観戦30年・川上さん 記念試合快勝に歓喜

Jリーグ開幕前から鹿島アントラーズを応援し続ける川上敏英さん=鹿嶋市大船津

開幕から30周年を迎えたサッカー・Jリーグ。茨城県鹿嶋市宮中在住の川上敏英さん(79)は、鹿島アントラーズのほぼ全ての試合を現地で見続けてきた生粋の鹿島ファンだ。東京・国立競技場で14日に行われた記念試合の鹿島-名古屋戦にも足を運び、30年前の開幕戦と同じ顔合わせとなった試合で熱い声援を送った。2-0の快勝でチームは5連勝。川上さんは「最高だ」と歓喜に浸り、久しぶりのタイトルを待ち望んでいる。

元住友金属社員で、鹿島がJリーグ入りを決める前の住友金属蹴球団時代から、一緒に働く仲間の応援を続けてきた。

1993年5月16日には同市のカシマスタジアムで名古屋戦を観戦。最初は静かに見始めたが、ジーコがいきなりハットトリックの快挙で5-0の大勝。若い人もお年寄りも興奮している姿に、自分も同じであることを感じ、応援する気持ちをさらに強めたという。サポータークラブ・インファイトのメンバーに誘われ、一緒に応援するようになった。自前でつくった旗の振り役を担った。

職場は3交代制。職場の仲間は「サッカーだろ?」と気を使ってくれて、試合日はサッカー観戦を優先できるローテーションにしてくれた。応援のために大型バスも譲り受け、アウェー戦の時は仲間を乗せて運転した。

「選手は移籍したり、引退するかもしれない。好きな選手がいなくなれば応援できなくなるかもしれない。チームをずっと応援したい」。特定の好きな選手はおらず、選手にサインやグッズを求めようともしない。活動の原動力は「アントラーズの勝利」だけだ。

川上さんは14日、所有するバスに乗り、鹿嶋を午前6時半に出発。同8時40分ごろに到着し、長年の応援の証しという古びたレプリカユニホーム姿で午後1時半のキックオフを待った。

試合が始まると、厳しい表情に変わり、太鼓のリズムに合わせマフラーを広げたり、回したりした。最前列で旗を振っていた時代とは違い、椅子に座っている時間も増えたが、大きな声援は変わらない。 同日の鹿島は、前半29分に鈴木優磨選手、後半39分に知念慶選手がゴールを決めた。周りの仲間とハイタッチして喜びを分かち合い、試合終了のホイッスルが鳴ると、両手を突き上げた。帰り際には、多くの仲間たちから「またね、次はカシマスタジアムで」と声をかけられる姿も目立った。

通算20回に及ぶ鹿島のタイトル獲得の瞬間を、全て生観戦したという。鹿島はここしばらくタイトルから遠ざかっているが、「早く次のタイトルが見たいね」と常勝軍団の復活を待ち望んでいる。

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