外交維持か断絶か、台湾を巡り世界が二分するなか…日本はいち早く台湾と断交していた?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLA」(毎週月~金曜7:00~)。5月2日(火)放送の「New global」のコーナーでは、“台湾との外交”について着目しました。

◆台湾との国交を巡り世界が二分、実は日本は…

4月30日に行われたパラグアイの大統領選挙で争点のひとつとなったのは"台湾との外交”です。パラグアイは南米で唯一、台湾と外交を行っていますが、それが国の主要産業である大豆や牛肉の中国への輸出の足枷になるとの声があります。

そうしたなかで行われた今回の選挙では、台湾との外交維持を明言した与党・ペニャ氏と中国との国交樹立を掲げた野党・アレグレ氏の事実上の一騎討ちに。結果はペニャ氏が勝利しました。

キャスターの堀潤によると、今回の選挙はアメリカもかなり危機感を持って注視していたといい、その理由は"アメリカの裏庭”と言われる中南米の国々が次々に台湾との国交を断絶し、中国に与しているから。しかも、それは中南米に限らず、世界中で見られ、特に蔡英文政権になり対中路線を鮮明にして以降はより進んでいます。

例えば、中南米では2017年にパナマ。2018年にはドミニカ共和国とエルサルバドル。2021年にはニカラグア。そして、今年3月にもホンジュラスが国交を絶っています。また、太平洋諸島ではソロモン諸島にキリバス。アフリカではブルキナファソやサントメ・プリンシペが断交。

これらの背後にいるのは中国で、堀は「自由主義諸国のアライアンスがどんどん削り取られ、心配だという声がある」と危惧する一方で「ただ、実を言うといち早く、(1972年に)台湾と断交を表明している国があり、それは日本」と指摘。

経済ジャーナリストの荻原博子さんは「その頃、田中角栄(首相)のときは中国と仲良くしないといけないという雰囲気があった」と当時の状況を振り返ります。

「今にして思えば、(台湾との断交を選ぶ)その道が果たして本当に良かったのか」と堀。というのも、当時の中国は貧しく、安全保障上でもそこまで力を持たない、いわば日本にとって脅威となる国ではありませんでした。しかし、いまや中国は世界でも屈指の大国となっています。

◆日本はいまや中国と切っても切れない関係に

日本の貿易状況を見ると、かつてはアメリカが最大の貿易相手国でしたが、2000年代に入り中国が急成長を遂げるとアメリカを逆転。現在は中国が最大の貿易相手国で、2022年の対中貿易総額は43.8兆円。割合もアメリカの13.9%に比べ、20.3%となっています。

また、日本は中国に対して多額の投資も行っており、直接投資額は1兆495億円。これはシンガポール、韓国に次ぐ、3番目に高い金額となっており、さらに日系企業の海外拠点は、3万1,047。この数は中国が最多となっています。

そうした状況のなか、堀はパラグアイの大統領選のニュースを見て、ある懸念が浮かんだそうで「厳しい未来を予想したときに、今、台湾とアメリカが接近している。もしも、台湾をアメリカが国家として承認し、国交を築いた際、中国、アメリカから問い詰められる。踏み絵を踏むことになる」と案じます。

一連の話を聞き、Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは「人権などではなく、お金で全てが決まってしまっている。私はひとりの人間として生きているのに、このニュースは全然親近感が湧かない。やはり、お金で全てが決まるのはどうなんだろう」と疑問を呈します。

ラッパーの呂布カルマさんは「結局、建前でどれだけいいことを言っていても、ケンカが強く、金を持っているヤツが偉い。その縮図ですよね」と感想を口にします。堀は「それで負けていいのかと、台湾の若者が僕に言ったんですよ。"経済に負けないでください!”と」とかつてかけられた言葉に思いを馳せます。

キャスターの豊崎由里絵は「台湾で活動されている方の話などをテレビで見ると応援したいと思いますが、(貿易状況を見たら)日本なんて完全に中国側でないとおかしいんですね。がんじがらめですよね」と言及。

荻原さんは「堀さんの言う通り、日本はアメリカと中国の間で苦悶しているが、その間に台湾はIT大国になり、いろいろな意味で世界的な存在感をすごく持っている。それがすごく大切なこと」と持論を述べます。最後に堀は「その台湾も、中国が最大の貿易相手国ということもある。もう少ししたたかな外交が必要かもしれない」と今後に関して話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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