苦しい日々を乗り越えた2人がマリーンズローテーションを支えている。西野勇士投手がここまで4勝。種市篤暉投手が3勝。共に2020年に右肘靱帯(じんたい)再建手術を経て、見事に復活を果たしている。
「今年は一緒に自主トレを行いましたし、ボクは純粋に彼(種市)を応援している。アイツはすごい。見習うところが多い。向上心がすごいし、常に新しいことを吸収しようと貪欲。絶対にブレない姿勢も素晴らしい。ボクにとってすごく刺激になる存在」と西野は語る。
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今年1月にはアメリカのトレーニング施設で共に過ごした間柄。なによりも20年6月に先に手術を行った西野の存在は同年9月に手術をした8歳年下の種市にとっては心の支えとなった。
「リハビリは単調で孤独なところもあるので色々と症状の事を話ができたり、いろいろと聞けたのはメンタル的にもすごく大きかった。症状も似ていたので、いろいろと教えてもらった。こんな感じで投げるようになるんだというイメージをすることもできた」と種市は当時を振り返る。
西野は「当然、不安になる。ボクも不安はすごかった。リハビリの過程というのは、よくなっているかどうかはなかなか分からない。常に不安。ボクの方が先に手術をして過程が進んでいたので、種市に聞かれた時には『大丈夫、大丈夫。焦るな』と励ました」と話す。
20年に手術を行い、21年はリハビリに専念。昨22年に西野は37試合に中継ぎ登板をして、種市は1試合に先発。復活の階段を昇りながら、今年2人でローテーション投手としてマリーンズの勝利に貢献をしている。
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「これからも手術を行う選手がいれば、なにか助言できる存在ではありたい。ボクも先に手術をした大嶺(裕太。22年引退)さんが投げている姿に励まされた」と西野。
かつてのパフォーマンスを取り戻した2人。その姿は野球界において今、リハビリを頑張る選手や手術を行う選手の心をともし、道しるべとなるはずだ。
「今年は先発として投げさせていただいて、いい時も悪い時もあるけど、仲間に助けられて、勝つことができています。本当に感謝です」(西野)
励まし、励まされ、助け合いながらシーズンは進む。マウンドの中心には苦しい日々を乗り越え復活を果たした選手がいる。マリーンズの戦いは続く。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
※写真:互いに手術を乗り越えた西野(左)と種市