日韓、「誠信交隣」精神で 朝鮮通信使研究の姜南周氏

 朝鮮王朝が日本に送った外交使節「朝鮮通信使」の研究で知られる韓国の姜南周・元釜慶大総長(83)が16日までに南部釜山で共同通信のインタビューに応じ、首脳が相互往来する「シャトル外交」を復活させた日韓両政府に「互いに欺かず争わず、真実をもって交わる通信使の『誠信交隣』の精神で未来に向かってほしい」と期待した。

 姜氏は、日韓に残る通信使の関連資料が2017年、ユネスコ「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録された際、韓国側の学術委員長を務めた。両国の学術委員の間には歴史観の違いもあったが「双方が対等に向き合い、譲歩するところは譲歩し、協力して登録が実現した」と述懐。「韓日の未来のために貴重な歴史を継承しようという一つの目的のために皆が尽力した」と語った。

 日韓間には植民地支配を巡る歴史問題が今も横たわり、韓国では「日本の反省が不十分」として両国接近に反発する声も多い。姜氏は「(元徴用工ら)被害者としては自分が受けた苦痛は忘れられないだろう」とし、補償や寄り添うことの必要性を訴えた。

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