松山沖のシカの島「鹿島」で20頭が脱走 土砂崩れでフェンスの下にできた30センチのすき間から…

愛媛県松山市の鹿島(かしま)で飼育されている県の天然記念物「ニホンジカ」。大雨による土砂崩れで、メスの飼育スペースから20頭全てが脱走し、市が捕獲を試みています。

松山市の北条沖に浮かぶ鹿島には、愛媛県の天然記念物でもある野生のニホンジカが生息していて、市によりますと、体調管理などのため、設置したフェンスの中でオスメス合わせて現在46頭を飼育しています。

そうした中、今月7日の大雨で土砂崩れが発生し、メスを飼育していたフェンスの下にできた30センチほどの隙間から20頭全てが脱走し、現在も見つかっていないということです。

地元の人
「北条鹿島のシカといったらシンボルだよね。シカがいないとつまらないよね」

鹿島は周囲およそ1.5キロの小さな島で、シカの飼育スペースの裏手には標高100メートル余りの山があります。

その遊歩道を歩いていると…。

リポート
「柵から逃げたシカでしょうか、こちらを見ています」

その後、茂みに隠れてしまいました。

島で海の家を経営する男性は今月11日、船着き場にたたずむシカを目撃していました。

北条鹿島レストハウスオーナー 山崎啓史さん
「何でシカがこんなところに佇んでいるんだろう、という感じで見ていました。久しぶりに檻の外に出てのんびりと日向ぼっこをしているような感じでしたね」

捕獲するため、飼育員らはニンジンやサツマイモなどのエサでおびき寄せようと試みていますが…。

記者「食べていますか?」
飼育員「全く食べていない」

松山市観光国際交流課 岡本徹也主幹
「今は自然界で生きている状態ですのでエサが一番心配なんですけど、早くシカが帰ってきてくれることを願っている感じにはなる」

シカは臆病であるため人に危害を加えることは少ないというものの、松山市は、観光客などに見つけても近づかないよう注意を呼びかけています。

また市によりますと、シカの脱走で懸念されることが2点あり、1つはエサを与えられなかったり、病気やけがのチェックができなかったりすることによるシカの体調管理です。

もう1つが島に生える草木の食い荒らしです。シカを飼育するそもそもの目的が島の自然保護だったということで、市では、専門家らによる検討委員会で捕獲などの対策を話し合う方針です。

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