かやぶき屋根修繕と技術を後世に 倉敷・不洗観音寺 費用一部をCF

修繕予定のかやぶき屋根のある客殿

 安産祈願などで知られる不洗観音寺(倉敷市中帯江)は、客殿のかやぶき屋根の修繕と技術継承を行うプロジェクトをスタートした。江戸中期に建立された貴重な建築物を次代に伝えるため、費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 前回のふき替えから20年以上経過し、雨漏りで内部の壁や床に傷みが出ていた。かやぶき屋根の維持・修繕費用は一般的な銅板と比べ高額なうえ、建築基準法では新築が認められておらず、建物がなくなると職人が研さんする場の減少につながりかねないという。

 宮寺密正住職(69)は「日本の伝統文化と技術を後世に残したい」と思いを語る。施工は地元の職人が担当する。

 同寺は数年前から修繕を検討していたが、新型コロナウイルス禍による参拝者の減少などを受け計画を延期していた。老朽化に加え、昨年9月の台風14号で境内の建物に被害が拡大したことから、プロジェクトの実施を決めた。早期の対応が必要な祈禱(きとう)所「紫雲殿」と「閼伽(あか)堂」は4月中に修繕を終えている。

 CFは山陽新聞社や中国銀行などの「晴れ!フレ!岡山」のサービスを活用。目標額は費用(約3200万円)の一部の700万円で、6月22日まで募る。返礼品は工事の見学や普段は一般公開されていない客殿の拝観など。詳細は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/111666)。

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