日中防衛ホットラインが本格稼働 首脳間合意から16年、課題も

浜田防衛相

 防衛省は16日、日中両国の防衛当局幹部間を直結するホットライン(専用回線)の運用開始を発表した。浜田靖一防衛相が同日、中国の李尚福国務委員兼国防相と回線を通じ会談した。ホットラインは、東シナ海などで自衛隊と中国軍の偶発的衝突といった不測の事態回避に向けた相互通報体制「海空連絡メカニズム」の柱で、3月末に回線設置が完了。整備方針で合意した2007年の首脳間合意から16年で本格稼働となった。

 ただ沖縄県・尖閣諸島周辺では連日、中国海警局の船が航行。中国海軍艦艇が頻繁に日本列島を周回するなど海洋進出の動きを強めており、緊張緩和に向けホットラインを着実に運用できるかどうかが課題となる。

 浜田、李両氏は会談で専用回線が不測の事態回避や信頼醸成に重要な役割を担っていると確認した。今後、適切に運用するとともに、当局間で双方向のやりとりを継続することを申し合わせた。

 浜田氏は東シナ海情勢など日中の安全保障上の懸念に言及。「だからこそ率直な意思疎通が必要だ」と述べた。

浜田靖一防衛相(左)、中国の李尚福・国務委員兼国防相

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