「逃げ遅れゼロ」へ住民出演動画 河川事務所、倉敷・真備で試写会

 2018年7月の西日本豪雨の教訓を踏まえ、国土交通省高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所(倉敷市真備町箭田)は、災害発生時の高齢者や障害者らの避難方法をテーマにした動画を制作し、16日、関係者に披露した。要配慮者の避難支援の必要性を同町地区の住民が訴え、個別避難計画の策定を促す内容で、「逃げ遅れゼロ」を目指す。

 自力で逃げるのが難しい要配慮者の避難方法をあらかじめ決めておく個別避難計画策定に向け、ケアマネジャーや民生委員ら関係者が集まるきっかけづくりのポイントを豪雨経験者の視点で発信しようと企画した。

 動画は15分。認知症の妻とその夫が主人公。夫婦を気遣う民生委員や近隣住民らが連絡を取り合い「迷惑をかけまい」と有事の避難を固辞する夫を説得して信頼関係を築き、妻の避難計画を作るまでの過程を描いた。

 同町地区であった試写会には、出演した住民ら約20人が参加。介護事業所を運営する津田由起子さんは「認知症の高齢者も障害者も、みんなで逃げるための絆づくりの大切さが全国に伝われば」とし、同事務所の濱田靖彦所長は「災害が多発する超高齢社会。官民で連携したソフト対策が必要との認識が広がってほしい」と期待した。

 同事務所は2021年、ケアマネらが同計画を作る方法を紹介する動画を制作。当時は岡山県内外で活動する劇団「OiBokkeShi(オイボッケシ)」が出演したが、今回は津田さんら地域住民らが演じ、劇団主宰者の菅原直樹さんが脚本を担当した。

 動画投稿サイトユーチューブで視聴できるほか、DVDを500枚作り無料配布する。

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