LGBT法案

 〈サミット前に法整備を進める姿勢を示すことで、差別解消に消極的との批判をかわす狙い〉があるらしいのだが、本当なのか-といろいろ気になる。こんなに急ごしらえの対応でも大丈夫なのか、逆に、この程度で何かが“かわせる”としたら、その批判とは何なのか。そもそもその批判の主は誰なのか▲性的少数者(LGBT)に対する理解を広げることを目指して政党間の協議や調整が続いていた「LGBT理解増進法案」を巡って、与党の修正案が昨日まとまった▲金曜日から始まる「G7広島サミット」の前に国会に提出する方針だという。きょうはもう水曜日だ。“滑り込みセーフ”には違いないが、事は子どもの宿題や学生のレポートではないのだ。真剣味を疑う▲法案では、与党の修正協議で文字が加わった「不当な差別」などの文言が議論を呼んでいる。差別はいつだって許されないものだ、不当も正当もあるものか-と。当然の批判に思える▲大切な来客の前のドタバタの準備…には親近感のようなものも覚えるが、やはり基本的な疑問が消えない。あなたたちは、いったいどっちを向いて仕事をしているのか▲こんな作られ方の法律でも、少しは世の中は変わっていくのだろうか、それとも…。当事者たちは与党の修正案に強く反発している。(智)

© 株式会社長崎新聞社