着物や帯 自然美映した精緻な技 岡山で日本伝統工芸染織展開幕

自然美を表現した着物や帯が並ぶ会場

 染め物、織物の実力作家が競演する全国公募展「第57回日本伝統工芸染織展」の岡山会場(日本工芸会、山陽新聞社など主催)が17日、岡山市北区表町、天満屋岡山店6階葦川(いせん)会館で開幕した。精緻な技と創意で自然美を映した着物や帯が、訪れたファンのため息を誘っている。

 受賞・入選作に、友禅、紋紗(もんしゃ)、紬(つむぎ)織などの重要無形文化財保持者(人間国宝)らの優品を加えた計72点を展示。巧みな糸使いと幾何学的な色面構成で晴天や湖の青、水面に映る新緑を表現した北岡悦子さん(大阪市)の「紬織着物『湖国の輝き』」=文部科学大臣賞、タカの模様を小粋に連ねた小宮康義さん(東京)の「江戸小紋着尺『鷹(たか)』」=東京都教育委員会賞=などが注目を集めている。

 会場には初日から和装好きの女性らが続々と詰め掛け、作品に顔を寄せ、細やかな意匠までじっくりと鑑賞。毎回楽しみにしているという岡山市北区、女性(81)は「しっとりと落ち着いた色合いの作品が多く、見ていて心が洗われる。『通り風』をモチーフにした紬織着物は、さりげなく入ったぼかしが絶妙で爽やかな風を感じました」と話していた。

 22日まで。入場無料。

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