新聞協会、「生成AI」に懸念 記事の無断利用、政府に対応要請

 日本新聞協会は17日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」で注目を集める生成AIに対して意見書を発表した。AIによる記事の無断かつ無秩序な利用が既成事実化すれば、報道機関が良質な記事を提供し続けることが困難になり、国民の「知る権利」を阻害しかねないと懸念を表明。政府に著作権法など法制度全体の観点から、対応を急ぐよう求めた。

 報道機関の記事や写真、画像などのコンテンツは報道各社が著作権などの権利を持つが、無断かつ無秩序にAIに利用される懸念が高まっていると強調。AI開発者にどのコンテンツを利用しているのか、情報開示や告知の義務を負わせるよう要請した。

 2018年の著作権法改正により、AIが著作物を無許諾で収集し利用することが原則として合法になったが、生成AIのような高度なAIの負の影響が十分に想定されていたわけではないと指摘した。

 また生成AIは間違いを含む回答をし、事実と異なるAIの回答を信じるユーザーが相次ぐ危険性があると分析した。AIを悪用すると偽情報を大規模に拡散させて、言論空間や社会を混乱させることも可能で、民主主義を守る意味で看過できないとした。

 生成AIはインターネットで学習した、人種や信条、病歴などの「要配慮個人情報」を回答する恐れもあり、生成AIが要配慮個人情報を回答した場合の法制度上の整理も必要だと主張した。

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