和菓子離れとお茶離れ…“合わせて解決”の新商品が人気 老舗菓子店が奮闘=静岡・熱海市

近年、若者のあんこ離れや手軽に買えるコンビニスイーツの人気などで、和菓子への支出額は少なくともここ20年間、減少傾向にあります。一方で、緑茶も支出額が減少傾向にあり、この2つの課題を解決しようと静岡県熱海市の老舗和菓子店が奮闘しています。

<菓子舗 間瀬の店員>

「こちらが新商品の『かおり』でございます」

<女性客>

「おいしい」

2023年で創業150周年を迎えた熱海の老舗和菓子店で、4月から発売されているのが…新商品「かおり」。1つは香り高い「煎茶」と甘い「栗」。もう1つは香ばしい「ほうじ茶」と「小豆」が使われていて、どちらもお茶の風味を楽しめる和菓子です。

<菓子舗 間瀬 間瀬眞行社長>

「和菓子はどうしてもあんこを主流にしたお菓子なので、世代によっては和菓子から離れているような感じがしました。和菓子離れを克服して、若い人たちに食べてもらえるようなお菓子を作れれば」

総務省の調査によりますと、1世帯あたりの和菓子の年間支出額はここ10年間で1209円も減少しています。また、洋菓子と比べても2倍以上の差があります。しかし、今回発売した「かおり」は販売開始から3週間で2000個を突破し、同じ期間販売したほかの商品の4.5倍売れるほどの人気商品に。その理由は…

和菓子離れに危機感を抱く中、新たなアイディアで“洋菓子”の要素を取り入れた商品にしたこと。カステラのようなふんわり感を出し、若い人にも食べてもらえるように工夫しました。

さらに世界農業遺産に登録されている伝統的な「茶草場農法」で作られた掛川市のお茶を使用。この茶葉に白あんを入れて混ぜていきます。あんこで作った生地の上に重ね、栗をふんだんに入れて蒸したら完成です。生産者の渡辺孝義さんもこの商品を通じて、お茶に親しんでもらおうと期待を寄せています。

<東山茶業組合 渡辺孝義さん>

「お菓子とかいろんな形でお茶を使っていただければありがたい」

一方で、緑茶の消費量も和菓子と同じく年々減少し、茶業界を取り巻く環境は一段と厳しくなっています。進む“お茶離れ”と“和菓子離れ”。今回作られた「かおり」にはこの2つの課題を解決したいという思いが込められています。

<菓子舗 間瀬 間瀬眞行社長>

「(和菓子屋には)そこのお店が作っていく、醸し出していく文化や菓子作りがある。お客様にそういうところも味わってもらえればと思う」

© 静岡放送株式会社