感染死と誤解生む報道なぜ起きた 原因説明必要

 NHKがニュース番組「ニュースウオッチ9」で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種被害で家族を亡くした遺族の声をコロナウイルスに感染して亡くなったように視聴者に誤解を与える報道をしていた。NHKは遺族の訴えを伝えておらず、適切ではなかった、として「深くおわびします」とニュース内容に問題があったことを認め、謝罪している。一方で、なぜこうした編集、報道になったのか、編集過程に関する説明は一切していない。原因に対する説明が求められている。

 問題の放送は15日にあった。「新型コロナ5類移行一週間・戻りつつある日常」とのタイトルの報道で「夫を亡くした妻」「父を亡くした子息」「母を亡くした女性」の声を報じた。映像からはコロナウイルスに感染して親族を亡くしたとしか受け取れない編集だった。

 NHKは放送後「『新型コロナ5類移行一週間・戻りつつある日常』と題した動画をツイッターでも配信しましたが、コロナウイルスに感染して亡くなったと受け取られるように伝え、ワクチンが原因で亡くなったというご遺族の訴えを伝えていませんでした。適切ではありませんでした。深くおわびいたします」と謝罪。

コロナがなければワクチン接種も必要なかったわけだが、感染して亡くなったのと、ワクチン接種で亡くなったのでは全く意味が違う。ワクチン無接種で感染していなければ亡くなることはなかった。

 立憲の原口一博元総務相は「放送法を所管する総務省とNHKに説明を求めます。ワクチンによる被害で大切な親族を亡くしたと考えておられる方々のお声をまるでコロナで肉親を亡くしたかのように編集して放送したのは事実を捻じ曲げた、明らかな放送法違反だと推察します。ねつ造を放送する放送局に公共放送の資格は、ありません」とツイッターに投稿した。

NHKは16日夜の「ニュースウオッチ9」でも「ご遺族と紹介して、3人のインタビューを紹介しましたが、この方たちはワクチンを接種後に亡くなった方のご遺族でした。このことを正確に伝えず、新型コロナに感染して亡くなったと受け取られるように伝えてしまいました。取材ではワクチン接種後に亡くなった方のご遺族だと認識していました。番組はコロナ禍をふりかえり、ご遺族の思いを伝えるという考えで放送しましたが、適切ではありませんでした。取材に応じて下さった方や視聴者の皆様に深くお詫び申し上げます」と取材に応じた方の意向とは全く違う伝え方をしたことを謝罪した。

なぜ、このような編集による報道が起きたのか、『受信料』を得ている公共放送として、事実を歪曲したとも受け取られかねない事象が起きた経緯の説明責任があり、ニュースへの信頼性を損なわないためにも「ニュースウオッチ9」枠内での謝罪でなく、『事実を伝える放送局』として説明が求められよう。(編集担当:森高龍二)

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