労働市場改革 職務給促すと総理 より成果主義

 岸田文雄総理は先日開いた新しい資本主義実現会議で「三位一体労働市場改革の方針」を取りまとめた。

 総理は労働市場改革で、年功序列を前提に成果に関わらず役職や勤続年数で賃金が上がっていく「職能給」から、職務の難易度や責任の度合いに応じて賃金が上がる「職務給」「ジョブ型人事」を促すことなどをあげた。より成果主義につながるもので、経団連などが求めている内容。この方針は新しい資本主義の実行計画改訂や骨太方針に反映させる。

 岸田総理は「個人が雇用形態、年齢、性別、障害の有無を問わず、生涯を通じて自らの働き方を選択できるような社会を作っていく」と強調した。

 そのうえで「三位一体の労働市場改革では構造的な賃上げを通じ、同じ職種であるにも関わらず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差を国ごとの経済事情の差を勘案しつつ、縮小することを目指す」と述べ3本柱について取組みを強化するとした。

 内容は(1)個人への直接支援を拡充し、教育訓練給付については高い賃金・就業可能性向上が期待される分野について補助率や補助上限の拡充を検討する。在職者によるリ・スキリングを強化するため、雇用調整助成金については例えば30日を超える雇用調整となる場合、教育訓練を求めることを原則とする、とした。

 (2)職務給・ジョブ型人事の導入を促すとし「人の配置・評価方法、リ・スキリングの方法、賃金制度などについて中小・小規模企業の事例も含め、年内に事例集を作成、企業実態に応じた導入の参考となるようにする」。

 (3)労働移動の円滑化を図るため「求職・求人に関して官民が有する基礎的情報を集約、共有して、キャリアコンサルタントが情報に基づき、個人のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制を整備する。失業給付制度について自己都合離職の給付要件を緩和し、例えば1年以内にリ・スキリングに取り組んでいた場合など、会社都合離職と同じ扱いとする」とした。

 岸田総理は「三位一体の改革を進める際、最低賃金の引上げを図るとともに中小・小規模企業の賃上げ実現のため、労務費の転嫁の在り方についての指針を年内にまとめる」とし、価格転嫁対策を強化する考えを述べた。(編集担当:森高龍二)

岸田総理は「三位一体の改革を進める際、最低賃金の引上げを図るとともに中小・小規模企業の賃上げ実現のため、労務費の転嫁の在り方についての指針を年内にまとめる」とし、価格転嫁対策を強化する考えを述べた

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