樹齢250年超のスギ 子どもら見守る「内装材」に 奈良・川上村立義務教育校で使用

川上村の下多古村有林で育った推定樹齢250年超スギの美しい木目=11日、下市町新住の花井商店

 日本最古の人工林の一つといわれる奈良県川上村の下多古(しもたこ)村有林から切り出された推定樹齢250年を超えるスギがこのほど、下市町内で製材された。直径86センチもの丸太が縦に割られ、吉野スギ特有の端正な木目と色つやが出現した。来春開校に向けて新築中の村立義務教育学校の内装材に用いるという。

 名だたる吉野杉の生産地といえども、樹齢250年超級の健康な木が山から出てくることはまれ。村が保存展示林として管理する下多古村有林には、「歴史の証人」と呼ばれる推定樹齢400年超のスギが3本あり、今回のスギは歴史の証人と隣り合わせに立っていた。

 吉野林業の技術を継承し、水源地保全にも力を入れる同村が新たに建てる学びやは木造3階建て。別の村有林で、建材に適したスギやヒノキを間伐したが、樹齢250年超級はただ1本。2021年11月に切り倒し、そのまま山で葉枯らし(予備乾燥)させていた。

 それでも、搬出するヘリコプターが丸太のままで吊り上げられる限界の重さだった。これほどの大径木に対応する製材工場も限られるという。下市町新住の製材所「花井商店」(花井知弥代表)の職人らは「つやが良く、最近40年で上位10本の一つだ」と眺めた。

 村によると、柱の化粧材などに用いて次代をひらく子どもたちを支え、自然と人の営みを語り継ぐ。

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