コクヨの株価が決算発表後に右肩上がり、その裏で伸びた銘柄とは?

日々発表される決算のチェック作業は、投資家にとっては重要なイベントです。決算発表をきっかけに株価が上昇し始めることも多いため、その初動を捉えたいなら、発表当日にチェックするのがベストです。

とはいえ、1日で何百社、混み合う日には千社以上の発表が重なりますから、すべてに目を通すのはきついもの。専業投資家ならまだしも、会社員として働いている個人投資家の方でしたら睡眠不足で日中の仕事に差し障りがでます。

そこで、効率よく当たり銘柄を見つける方法として、好決算で株価の反応がよかった銘柄の“二匹目のドジョウ”を狙う作戦を紹介します。


第1四半期決算で好スタートを切ったコクヨ

まずはコクヨ(7984)の株価チャートをご覧ください。

画像:TradingViewより

4月28日(金)の第1四半期決算発表後、株価はほとんど下げることなく右肩上がりで上昇しています。コクヨといえば、おなじみの文房具メーカーですが、いったい何が起こっているのでしょう。

2023年12月期第1四半期決算は、①売上高92,555(百万円)、②前年同期比+7.1%、③営業利益10,815(百万円)、④前年同期比+7.7%と増収増益です。

画像:コクヨ「2023年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

一桁の増収増益なので、それほどインパクトを感じませんが、1-3月の3ヵ月だけで言えば、過去最高益となります。通期予想の営業利益予想20,000(百万円)に対する進捗率は、54%と前期の51.9%、前前期の49.9%と比べても好スタートを切っています。

同社の事業は、大きく分けてワークスタイル領域に属するファニチャー事業、ビジネスサプライ事業と、ライフスタイル領域に属するステーショナリー事業、インテリアリテール事業の4つの事業部に分かれています。

売上比率が一番高いのはファニチャー事業で、営業利益率もほか事業部より高いため、コクヨの花形部署といえます。今回の決算発表では、①前年同期比売上11.1%増、②営業利益14.3%増とファニチャー事業の好調が際立ちました。

画像:コクヨ「2023年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

決算短信によると、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要が業績を牽引しているとあります。たしかに、コロナのビフォー・アフターでは、オフィスの在り方は大きく変わりました。リモートワークが増えたことにより、トラディショナルなオフィス家具の需要は減少した一方で、フリーデスクや、オンライン会議ができる仕様のオフィス空間商材など、新しい需要が拡大しています。こういった変化が好感されたこともあり株価が上昇しています。

オフィス家具トップメーカーの決算はどうだった?

さて、オフィス家具需要が堅調となれば、同業他社の決算発表もおそらくよいものが出てくるはず。オフィス家具のトップメーカー・オカムラ(7994)の決算発表は5月10日(水)にありました。すでに発表後なので後出しにはなりますが、やはり業績は好調です。とくに新年度である2024年3月期の①営業利益は20,500(百万円)、②前年同期比+18.0%の大幅増益です。ちなみに会社四季報の予想は18,000(百万円)でしたから、四季報読者から見てもサプライズ決算になります。

画像:オカムラ「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

同社の決算短信にも、「新しい働き方に対応したオフィスの構築が、業種・規模を問わず多くの企業にとって重要な経営課題となっており、全国でオフィスのリニューアル需要が活発に推移しました」とあり、オフィス家具業界自体の活況が伺えます。

オカムラの株価チャートを見てみましょう。

画像:TradingViewより

コクヨの決算発表があった4月28日(金)の翌日からすでに上昇しており、おそらくコクヨでオフィス家具需要が堅調なことを知った投資家が、先回りしてオカムラの株を仕込んだのでしょう。思惑通り、好決算で、5月10日(水)の決算発表翌日には、15.8%のジャンプアップとなりました。

オカムラの場合は、決算発表と同時に2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を発表。2026年3月期には、売上高3,000億円、営業利益240億円、営業利益率8.0%、ROE10%を目指すこと、また配当性向を40%に引きあげるという株主還元強化もうたっています。前回の記事で紹介しましたが、今回の決算シーズンでは、中期経営計画を出したところに注目が集まっています。その効果も相まって、オカムラの株価が大きく跳ねました。

同業他社の決算スケジュールを把握しよう

コクヨとオカムラのように、同業の企業で決算発表日がズレている場合は、先の企業業績とそれに対する株価の反応が、あとから発表する企業決算を予想する大きなヒントとなります。

例えばヤマハ(7951)と河合楽器(7952)、資生堂(4911)とコーセー(4922)、ミズノ(8022)とアシックス(7936)など、初心者の方にも分かりやすい競合の組み合わせはたくさんあります。次の決算シーズンに備えて、組み合わせリストを作ってみてはいかがでしょう。

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