勝手に納屋を増築、ヒモ男が勝手に入籍…親の資産が狙われている

認知症の母他界後、預貯金がすべて姪っ子、甥っ子の教育費に渡っていたケースも

4月28日、元女優の江角マキコ(56)が、子供を通わせていたインターナショナルスクールの元理事長であるK氏の遺族から訴えられていたことを『フライデー』が報じた。一方、4月26日には認知症だった親に3億円寄付させたのは不当だとして、金沢医科大学と同大学病院の前院長が遺族に提訴された。

高齢者の資産のトラブルが増えているという。実例を見ながら、ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの北見久美子さんと対処法を考えていこう。

■母の貯金がすべて姪っ子、甥っ子の教育費に

60代パート「妹は教育熱心で、三人の子供に対して留学、大学院へ進ませるなど身の丈に合わないほど教育費にお金をかけていました。長く認知症を患っていた母が他界したのち、母の預貯金がゼロに近いことが判明。妹を問い詰めたところ、介護を頑張ってくれたからと母から生前贈与を受けたと主張しています。私は子供にも贅沢をさせず、慎ましく暮らしてきたこともあり、納得できません」

北見さん「まず親の資産をつまびらかにし、常に兄弟姉妹で共有すること。誰か一人が『少しくらい』と、預貯金を引き出せばすぐにわかります。また介護や世話を誰か一人に負わせるのではなく、きょうだい全員が参加することも大切です」

■実家に帰ったら納屋が増築されていて

60代会社員「私の父はいわゆる旧家の跡取りで、非常にプライドが高く、おだてられたり、頼み込まれたりすると、見えから必ず応じてしまう性格です。特に母が亡くなり、認知症の症状が出てから、ひどくなりました。相場の数倍以上の高値で壺や絵を買わされたり、毎年何十万円を庭の手入れに使っていました。でもプライドの高い父にそれを指摘すると怒るのです。

極めつけがひさびさに実家に帰ったら、庭に立派な納屋ができていたことです。500万円ほどかかったそう。80代で一人暮らしの父に必要はなく、案の定、中は空っぽ。父の性格に便乗して必要のないモノを売りつけてくる人もどうかと思います」

北見さん「家を訪問したとき、『何か買い物をした?』などと尋ねては機嫌を損ねてしまいます。室内をさりげなく観察し、不審なダイレクトメールや配布物、趣味に合わないものが1つ2つでもあった時点で防衛策を。先方(業者)に勧誘しないことを求める内容証明郵便を送るなどアクションを起こしましょう」

■ヒモ男が亡くなる直前の母と入籍

50代専業主婦「母は70代で、がんで亡くなったのですが、認知症にも罹患していました。父が若くして亡くなった後は独身で、祖父母から相続したアパートを数件所有していました。

母が懇意にしている相手がいることは知っていたのですが、なんとその男が、母が亡くなる直前に病室に行政書士を連れて現れ、入籍させたうえ、遺言状を作成させていたのです。生前の母は相手の男のことは“ヒモ”と愚痴り、結婚しようなどと考えているそぶりはありませんでした。認知症の母を言いくるめたに違いなく、長い裁判になりそうです」

北見さん「資産があると、狙われることは確実です。孤独を漂わせていると余計に入り込む余地を作ってしまいます。日ごろから親に優しい心で接し、信頼関係を強固にしておく努力を。子供の存在感をアピールし、つけ入る隙を作らないことが大事です」

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