ブータンで柔道選手が急増 「キン肉マン」作者も支援

ブータンで柔道に取り組むガワン・ナムゲルさん(左端)。右端は片山理絵さん=5月、ティンプー(片山さん提供・共同)

 ヒマラヤの小国ブータンで柔道に取り組む若者が急増している。約10年前はほとんどの人が柔道を知らなかったが、クラブ活動などを含めた現在の競技人口は数百人に上り、来年のパリ五輪を目指す選手もいる。大ヒット漫画「キン肉マン」作者の漫画家コンビ「ゆでたまご」嶋田隆司さんも縁あって支援している。

 初の柔道教室を開いたのは、首都ティンプーの私立学校の校長片山理絵さん(50)。柔道指導者の山崎道洋さん(35)を日本から招き、2010年に始めた。

 ブータンは「幸せの国」として知られるが、経済的に貧しい人が多い。教室設立時は未成年の暴力事件や薬物犯罪が社会問題になっていた。

 勉強以外に「若い人たちの芯になるものをつくりたい」と考えた片山さん。武道を通じた教育を模索し、柔道に着目した。公立校を回って生徒をスカウトし、地道に活動を拡大した。

 教え子だったガワン・ナムゲルさん(24)は招待枠で21年の東京五輪に柔道選手として初出場。ほかの2選手と共にパリ五輪を目指して奮闘中だ。

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