エリアトラウト最高峰を争うトラウトキング選手権2021-2022シーズンにおいてマイスターの称号を獲得した矢島俊介さん。来るべきシーズンに向け、次世代を担うトップクラスアングラーが考える次なるトレンドに迫る。「賢くなった魚をどうだますか~それを考えることが今のトーナメントでは必要不可欠」だと矢島さんは語る。今年注目しているトレンド、ルアーの「ピッチ」と「スピード」について語ってもらった前回に続き、放流セカンド&サード後の展開でも「スピード」が重要なこと、そして矢島さんプロデュースのNEWロッドについても触れてもらった。
●文:ルアーマガジン編集部
矢島俊介さんのプロフィール
― 矢島俊介(やじま・しゅんすけ)
ティモンプロスタッフ。昨シーズンのトラウトキング選手権大会でマイスターを獲得した次世代のホープ。愛されるキャラクターに加えて、的確な状況判断と独自の理論で注目を集めている。大芦川F&Cフィールドビレッジや加賀フィッシングエリア、ならやま沼漁場、アングラーズエリアHOOKなど北関東を中心に活動している。
放流の「セカンド」「サード」でも「スピード」がカギを握る
― 「ファースト」の段階で放流が釣り切られる
午前中の放流が入った段階で、まず矢島さんは遠投できて速く引けるアピード2.7gを投入。反応する魚を的確に獲っていき、次に2.3gに替えて、ややレンジを落として追加していく。それに反応がなくなるとリクーゼに替えて、表層付近をやや上目にトレースして状況に対応していった。
クランクとミノーのローテーションで連発を続けていたところ、午前中の放流が行われた。これを見た矢島さんは、すかさずスプーンのアピードを投入。
矢島「遠投して、いい魚を自分の方に集めるイメージ」がハマって、狙い通りの連打。やがて魚が水になじんだとみると、ウエイトを2.7gから2.3gに落とし、レンジも下げて、さらに追加していく。そのアタリがなくなってきたところで「リクーゼに換えます」
1.0gのリクーゼで表層付近をやや速めに引くと、次々と湧き上がるようなバイトをモノにしていく。
矢島「スローな展開が終わってから、上層にいる魚を上を速く通して、ルアーを認識させる時間を短くして反応させました。スピードでスイッチを入れるイメージですね。従来は、放流ファーストのあと、色の変化でセカンド~サードと対応できたのですが、最近はファーストの段階で釣り切られてしまい、その後の時間が極端に短くなっていると思います」
1.0gのリクーゼで、表層付近をやや速めに引くことで対応。さらにカラーを変えながら連発していった。
矢島「リクーゼは細身なのでスピードも出せてハイピッチにアクションします。これが自分の考えるトレンドに合うと思っています」
ピックアップスプーン
― リクーゼ(ティモン)
杉山代悟さんがプロデュースしたハイピッチ型NEWスプーン。
矢島「ダイゴくんが開発したスプーンで、1gという軽すぎず、重すぎずのウエイトです。全長はティアロとほぼ同じですが細身のシルエットになっていて、スローでも細かいピッチのウォブリングアクションで出せます。ボクはこのピッチが大事だと思っていて、速く引いても安定感のあるハイピッチな動きが有効だと考えています」
「スプーンで釣り切ったあとにフラパニのスピードが活きる」
― フラパニの持つスピードとラトル音で高活性魚を狙う
放流魚を追い切ったあとに、矢島さんはふたたびクランクベイトをチョイス。しかし、今度はキビパニMRではなく、フラットサイドボディを持つフラパニだった。
矢島「フラパニはヒラヒラとボディを倒しながら速く引けるクランク。これがスプーンで反応しない魚に効果がありました」
その後も、魚の反応の変化をみながら、ルアーを換えて対応していく矢島さん。その状況判断には驚かされるばかりだった。
フラパニをやや深めに通していると、ボトム付近の魚が食い上げてくるを見た矢島さんはパニクラDRを投入。ボトムノックさせると深場のトラウトを連続キャッチ!
― 矢島さんのローテーション
パニクラDRのボトムノックで反応する魚がいなくなると、ふたたびキビパニMRへ。
矢島「朝と違うのは、放流魚がいるので食わせに寄せすぎないでOK。強めのカラーでいい反応がありましたね」
強めのカラーのキビパニMRで中層を通し、活性の高い魚を釣ってから、最後はペピーノのレンジとカラーのローテーションで、きっちりと釣り切ってくれた。
ピックアップクランク
― フラパニ(ティモン)
― 明滅アクションで惹きつけるフラットサイドクランク
扁平なフラットサイドボディが生み出す、パタパタとした明滅アクションが魅力のクランク。内蔵された2個のガラスラトルが広範囲の魚にアピールする。「キビパニと同じサイズですが、動きの質が異なるので、魚の反応を見て使い分けてます」
矢島さんプロデュースのNEWロッドはエステルゲームに高次元対応
― トップマイスターを狙うために欠かせないNEWロッド
今回の取材で、矢島さんは2本のタックルを使用。そのうちの1本は自らがプロデュースしたTコネクションのNEWモデルだった。
矢島「TCA S61L+Eはパワーのあるエステルライン専用ロッドです。ミドルウエイトのスプーンを沖で操作したときに、操作感と掛けにいけるバランスを備えています。大きなポンドの沖の魚は、プレッシャーが少ないからいい魚が多い。そういう魚はバイトが速い、そして糸がフケやすい状態になる。そこでロッドが曲がりすぎると、針先が乗っているだけで貫通しない。それを短いストロークでしっかりと掛けられるのが、ボクのロッドですね」
取材協力「大芦川F&Cフィールドビレッジ」
鹿沼市を流れる大芦川のそばにあるルアー&フライ管理釣り場。地下水をくみ上げているためシーズンを通して安定した水温と高い透明度を誇る人気エリアだ。ニジマスやヤマメ、ブラウンなどをはじめ大型のヤシオマスやドナルドソン、美雪マスなど、時期に応じて様々な魚種を放流。
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