「勝ちたいし、フェラーリで世界タイトルを獲りたい」ルクレール、パフォーマンスに満足していないと認めるも決意は変わらず

 フェラーリは2023年シーズンに期待外れのスタートを切ったものの、フェラーリで世界タイトルを勝ち取るというシャルル・ルクレールの揺るぎない決意に変わりはない。

 モータースポーツの歴史に名を刻みたいという強い願いに支えられたルクレールは、チャンピオンシップのトップへの復活を待ち望んでいるフェラーリのファン層全体の希望と願望を体現している。しかしティフォシの心には失望が尾を引いている。ルクレールとチームメイトのカルロス・サインツは、レースにおいて圧倒的強さを誇るレッドブルのRB19に対抗できないマシンと格闘している状況なのだ。

 それでもそれぞれの挫折は、自分とチームをプッシュして、F1の偉大さの追求を妨げる障害を乗り越えようというルクレールの決意を後押ししている。ルクレールがマラネロに栄光を取り戻す夢をあきらめるつもりがないことは明らかだ。

「僕は勝ちたいし、フェラーリで世界タイトルを獲りたい」とルクレールは『The Athletic』のインタビューで語った。

「このことははっきりしている。そしてこの数年のパフォーマンスには満足していない。一貫性があまりないんだ。今年に向けてかなりの期待が寄せられたけれど、結局僕たちには望んでいるほどの競争力がないことがわかった」

「でも振り返って(チーム代表のフレデリック・バスールと)チームと分析をしてみると、いくつか理解できたことがあった。自分たちが今この状況に置かれている理由について、もう少し明確なイメージをつかむことができた」

2023年F1第5戦マイアミGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 フェラーリの成功のチャンスは、時に限界を押し広げようとするルクレールによって損なわれることもあり、最近ではマイアミのように高くつくミスに繋がっている。しかしルクレールは今も自身の過ちを厳しく認識しており、そうした挫折を自己改善への原動力にしている。鋼のような決意を持つルクレールは、こうしたミスから学び、それらをフェラーリのかつての偉大さを取り戻すための探求における障害にするのではなく、足がかりとすることを目指している。

 フェラーリとドライバーを取り巻く計り知れない名声と厳しい監視の目は、大きなプレッシャーの波をもたらしている。ルクレールは、フェラーリがいかにしてプレッシャーを退けたかを示す事例として、過去のジャン・トッド/ミハエル・シューマッハーの黄金期を挙げた。

「ミハエルとジャンがいた時もこうだった。彼らは見事に対処した。だから僕たちが不満を言ったり言い訳したりすることはできない」とルクレールは説明した。

 実際、ルクレールは揺るぎない集中力と不屈の精神によって地に足をつけ、外部からの期待による影響をほとんど受けていない。

「それもフェラーリが特別である理由の一部だ。ここには情熱がある。他のチームにはない情熱だと思う」

「困難な状況に対処するのはより難しい。さらに感情的になってしまうからだ」

「でも結局のところ、フェラーリなんだ。それを変えるつもりはない」

2023年F1第5戦マイアミGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

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