明治期の音色体感を 兵庫・たつので製造されたオルガン展示、21日に演奏会も 龍野歴史文化資料館

明治時代のオルガン。手前の2台は現在でも演奏することができる=たつの市龍野町上霞城

 明治時代、兵庫県たつの市内で盛んに製造されたオルガンを紹介するロビー展「明治の音色を奏でる風琴」が、龍野歴史文化資料館(同市龍野町上霞城)で開かれている。近くのしょうゆ醸造業者から寄贈されたものなど計2台は、入館者も演奏できる。21日には教会オルガニストによる演奏会も開かれる。(直江 純)

 足踏みペダルからの風力で音を鳴らすオルガン(風琴)はピアノより安価で、西洋音楽教育のため全国に普及した。同市龍野町北龍野出身の池内甚三郎(1871~1936年)は、「東洋楽器製造」「池内風琴所」の商号で約10年間、多くのオルガンを世に送り出し、このうち約20台が現存している。

 今回は、東洋楽器や同市揖保川町にあった寺田楽器製など計5台を展示。大阪市立愛珠幼稚園では、甚三郎が大阪で製造したオルガンを今も受け継いでいるという。館内の映像で、明治時代に作られた「鉄道唱歌」と同じメロディーで「朝の歌」を演奏する様子を紹介している。

 童謡「赤とんぼ」で知られる詩人・三木露風が、大阪にあった西洋楽器店の草分け「開成館」(現・三木楽器)に送った大正時代のはがきは、露風の故郷・たつの市内では初公開となる。童謡作詞の原稿料について、露風と開成館とのやりとりが分かる。

 ロビー展は6月25日まで。入館料(一般200円。5月21日までは無料)が必要。関連行事として5月21日に演奏会や体験会が計4回開かれ、6月4日午後2時からは三木楽器OBで甚三郎に詳しい田中晴美さん(78)が講演する。各回とも要予約、定員20人、無料。

 田中さんは同3日午後2時から、揖保川公民館(TEL0791.72.2412)でも講演する(要予約、無料)。

 龍野歴史文化資料館TEL0791.63.0907(月曜休館)

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