映画『タクミくんシリーズ』森下紫温&加藤大悟が“BL”に思うこと「愛はどこにでも存在する」

シリーズ累計発行部数500万部を超える大人気ボーイズラブ小説「タクミくんシリーズ」。1992年に第1巻が刊行されてからは何世代にもわたり愛され続け31周年を迎える今年、待望の劇場映画の新シリーズが始動。 フレッシュなキャストで実写映画化され、5月27日(土)より『タクミくんシリーズ ⻑い⻑い物語の始まりの朝。』がシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開されます。

葉山託生役には、TikTokで10万人超のフォロワーを集める期待の新人・森下紫温さん。
そして崎義一役は、ミュージカル『刀剣乱舞』や『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage、舞台『魔法使いの約束』など人気作品に出演し、大躍進中の加藤大悟さんが務めます。

左:森下紫温さん、右:加藤大悟さん

また監督は、旧シリーズに引き続いて横井健司さんが指揮をとり、新たなキャストを迎えて、旧シリーズから新シリーズへの期待を裏切らない強固な架け橋となる作品となっています。

今作は「タクミくんシリーズ 完全版1」小説のうち『暁を待つまで』『そして春風にささやいて』『長い長い物語の始まりの朝。』の3タイトルをもとにしたストーリー。

さっそく本作で主演を演じた森下紫温さん、加藤大悟さんのお二人に直撃インタビュー! 本作への想い、そして自身が演じたキャラについてなど伺いました。

BLを初めて読んだ感想は「全員男性だ!(笑)」

――出演が決まったときの気持ちをお聞かせください。また本シリーズは過去にも映像化されていますが、プレッシャーなどはありましたか?

森下紫温さん(以下、森下):タクミくん役で出演が決まったと聞いた時は、まず“嬉しい!”が100%でした。
僕は事務所に入って、これが初めてのお仕事だったんです。演技経験もなく、人に観られる作品に出たこともなかったので、やっぱりプレッシャーや緊張はありました。撮影現場自体も僕にとって未知の世界でした。

『タクミくんシリーズ』は長く愛されている作品だし、たくさんのファンの方々がいる作品に出るんだ、という実感が湧き始めてからは、撮影初日の前日も寝られなくて。
でも原作を読み、今までの映像化シリーズなども拝見したりしながら自分の中での解釈が出来上がっていったので、それを信じて演じることを心掛けました。

加藤大悟さん(以下、加藤):僕も映画初出演、そして初主演なので心配や不安は正直ありました。でもそれよりも、自分がやるべきことは何かと考えた時に、とにかく周りを見るようにしました。そういうことが役作りにも繋がると思ったので、徹底しようと。

実は、出演が決まった時に色々考えて、どうしたらいいんだろう?と悩んだりしたんです。それでも今回ダブル主演で、自分よりも年下の(森下)紫温ちゃんが居て。『紫温ちゃんから見たら僕は先輩という立場になるんだから、頑張らないと!』という積極的な気持ちが沸いてきたんです。

――脚本を読まれたときの感想はいかがでしたか?

森下:僕はまず、ボーイズラブ(BL)作品を見たのが初めてだったんです。なので最初に読んだ感想は「登場人物全員が男性だ!」でした(笑)。
それから、最も気になったのは僕が演じるタクミ(葉山託生)が抱える「人間接触嫌悪症」とはなんだろう?というところ。

実際にある病名ではないから自分の中での解釈を考えたり、どう表現するべきかが大事になりますよね。
例えば作中で、タクミが特定の誰かに触られたら発症するのか?すごく近づかれたら発症するのか?どの距離ならいけるのか?どんな症状が出るのか?とか‥…、自分の中で最初は認識が曖昧だったので、そこをずっと考えていました。

加藤:「人間接触嫌悪症」の解釈は難しかったよね。
僕はとても(ピュアな愛が)まっすぐに描かれているな、と感じました。この人とこの人が惹かれ合って、この人はこう行動して……など純粋で分かりやすい愛の物語が、とても理解できる。でも、シンプルに現わすのは逆にとても難しいことだとも感じます。そういうことを含め、僕たち役者に向けて、今回の映画はまっすぐな愛のある脚本だと思います。

加藤「“愛の形”はどこにでも存在する」

――『タクミくんシリーズ』は“学園BLの金字塔”とも呼ばれる作品です。いま日本でも世界的にもBLはブームとなっていますが、BLに対する印象はどのようなものでしょうか?

加藤:BL作品がブームになる理由が分かりますよね。だって、“愛の形”ってどこにでも存在するじゃないですか。恋人にも、友達にも、家族にも、スタッフさんにも。そして、なかでもBL作品は特に表現が純粋で“純愛”だと感じます。とてもストレートな愛情表現で……。

森下:うん、本当に僕もそう感じた。今までBL作品に触れたことがなかったけれど、同性同士でも異性とでも、純粋な愛とか恋愛というのは何も変わらないし、好きな人を想う気持ちに変わりはないから。僕が演じたタクミに関しては本当に、すごく綺麗にまっすぐな恋愛を描いてるんだな思いました。

加藤:そうだよね。
(BL作品を)初めて観る方は、もしかしたら驚いたりする方もいらっしゃるかと思います。
僕自身もこういう作品に触れる前はよく分かっていなかったけど、今回この作品に触れて『愛の形って本当に色々あるんだ』と思ったし、その愛の形を表現するのって難しく考えずに、実はシンプルなことなのかもしれないと感じて。とても魅力的だと演じて思いました。

森下:BLに触れたことがない方はぜひ観て欲しいよね。この良さは観て頂かないと分からないと思うし、知らないままかもしれない。僕もその中の一人でした。
でも今回ありがたいことにBLに触れる機会を頂いて、実際にBL作品に接してみたら、その素敵な部分が分かりました。
だからこそBLは世界的なブームにもなっていると思うし、どんな方でも入れる世界観だと思います。なので、今あまりBL自体を知らない方々でも、機会があればぜひ手に取って触れてみて欲しいです。

森下「タクミくんは僕と似ている部分が多い」

――わかります! 本当にそうですね。そんな今作でタクミは自問自答しながらも少しずつ心を開いていきます。そんな“タクミらしさ”を表現するためにどう解釈し、意識して演じられましたか?

森下:僕が元々、自分の中ですごく自問自答をするタイプで、タクミくんと似ている部分が本当に多いんです。「人間接触嫌悪症」があるところ以外は、僕とタクミほとんど同じ性格で『この子、本当に自分に似ているなぁ…』と思いながら原作を読んでいました。
なのでセリフ回しひとつにしても、あまり違和感を感じなかったんですよね。すごくスムーズに役に入って行けたし、役作りも出来たと思います。

――原作のギイと同様に、加藤さんの“ギイ”は仕草や視線の送り方が艶やかでセクシーで大人びた印象でした。ギイをどう解釈し演じられましたか?

加藤:ギイは高校生なのに大人な雰囲気で良いなあと思っていて、いま僕は22歳なんですが演じる年齢としてはちょうど良いなと感じていました。
実際には高校卒業から5年経っていますが、今の自分の年齢のまま、もし高校生に戻ったらこういうふうにするかな?と考えたりして。

ギイは高校生だけど、ちょっとみんなより大人びているし、今の自分をそのまま映し出しても良いんじゃないかと。もちろん彼はまだ高校生だから、子供っぽい部分も本当はあると思んです。

でもギイはそういう部分は超越した高貴な身分だったり、周りから“あの崎義一”というレッテルを貼られている高嶺の花。だからこそ、そういう振る舞いをするんだと脚本を読んで解釈しましたし、まずはそこを意識して演じていきました。

加藤「ギイと僕は全部が真逆です!(笑)」

――役作りで悩まれたりしましたか?

加藤:僕とギイは性格が真逆なので、“高嶺の花”への羨ましさや憧れを基に役を作っていったこともあって、客観的にギイを見ていられました。

実際にはこんなこと出来ない…という行動でも、ギイに憧れを感じた自分だからこそ役に入っていけたと思っています。役作りはとても楽しかったですし、憧れを演技に落とし込むことは僕本人の成長にも繋がる。自身に近くない役だからこそ逆にやりがいを感じました。

――どのあたりが“真逆”だと感じました?

加藤:全部です!!もう全部!!(笑)
僕とギイとは身長が近いぐらいしか共通点がないです!(笑)

――作品の見どころ、そしてご覧になる皆様へメッセージをお願いします。

森下:僕自身、初出演作品となったこの『タクミくんシリーズ』ですが、今までBL作品に触れたことがない方々にも、願わくば届いて、ご覧になって、何か響いてくださればと思っています。
初めてのタクミとギイの関係の変化や愛が、映像の美しさでも描かれていますので、ぜひその部分にも注目して観て頂きたいです。よろしくお願いします。

加藤:最初から最後まで通して、ギイとタクミの心のつながり、そこにある『愛の形』を僕たちなりに表現しました。
それぞれ他のキャラクターたちの関係性もとても面白く、それぞれ人間味が溢れているのでぜひご注目ください。
そして僕も今回、映画初出演・初主演さらに初主題歌と楽曲も務めさせて頂きました。ぜひ僕の“三大・初”を見ていただきたいです!(笑) よろしくお願いします!

――ありがとうございました!

森下紫温様 ヘアメイク:三上彩、スタイリスト:扇野涼子
加藤大悟様 ヘアメイク:瀬戸口清香、スタイリスト:MASAYA

(執筆:加藤日奈)

森下紫温さん、加藤大悟さんプロフィール

森下紫温
2002年10月25日生まれ、静岡県出身。
22年、「二重奏」でデビュー。23年、「戦国送球バトルボールズ〜大阪冬の陣〜」に出演。

加藤大悟
2000年9月19日生まれ、愛知県出身。
主な出演作は、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage 四十物十四役、舞台『魔法使いの約束』ヒースクリフ役、ミュージカル『刀剣乱舞』山姥切国広役、舞台「漆黒天 -始の語り-」真嶌千蛇役など。

■作品概要

『タクミくんシリーズ ⻑い⻑い物語の始まりの朝。』
出演:森下紫温 加藤大悟
中山咲月 高橋璃央 野口友輔 植村颯太 永島龍之介 坪倉康晴 木津つばさ
原作:ごとうしのぶ(「暁を待つまで」「そして春風にささやいて」「⻑い⻑い物語の始まりの朝。」/角川ルビー文庫刊)
原作イラスト:おおや和美
主題歌:「0%」加藤大悟
監督:横井健司
脚本:金杉弘子
製作:「タクミくんシリーズ」製作委員会
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会
公式ウェブサイト:https://takumi-kun.jp
公式 Twitter:@takumikun_movie(https://twitter.com/takumikun_movie/
公式Instagram:@takumikun_movie(https://www.instagram.com/takumikun_movie/

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