ウミガメ産卵観察を再開 4年ぶり、全国有数のみなべ・千里の浜

砂浜に上陸して卵を産むアカウミガメ(2021年7月、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で)

 全国有数のアカウミガメの産卵地として知られる、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で今季、産卵観察の受け入れが4年ぶりに再開される。観察できるのは6月12日からで、町教育委員会が事前の許可申請を受け付けている。観察は1日50人までの制限がある。

 コロナ禍の影響を受けた3年間は、ボランティアの調査スタッフが十分に確保できないことや、感染の拡散防止の観点から観察の受け入れを中止し、夜間での浜への無秩序な立ち入りはウミガメの産卵やふ化の妨げになるとして、自粛してもらえるよう理解や協力を求めていた。

 今季はコロナ禍がある程度収まったとして、再開を決めた。産卵シーズンは5月下旬から8月上旬までだが、産卵数が多くなり、NPO日本ウミガメ協議会などによる保護調査活動が始まるのに合わせ、観察受け入れ日を6月12日からにした。1日50人までの制限は、夜間に多くの人が浜を移動するのは危険な上、ウミガメの上陸や産卵の妨げを少なくするためだという。

 観察できる時間は午後8時から午前0時までで、案内してくれるボランティアスタッフの指示に従って観察する必要がある。観察に際し、ライトを照らさない▽大きな声を出さない▽ストロボ撮影は禁止▽産卵が始まるまでは近寄らない―などのルールも設けている。駐車場は千里の浜手前の未舗装の広場。

 千里の浜でのウミガメの産卵はここ数年、低調な状況が続いている。近年では2012、13年に300回近くの産卵があったが、14年には半分以下に減り、21年には31回で調査開始以来2番目に少なかった。昨年は49回だった。

 観察については町のホームページでも紹介している。観察の申請は、町教委へファクス(0739.74.3621)か電子メール(kyoiku@town.minabe.lg.jp)で、住所、氏名、電話番号、観察希望日、参加人数を明記して送ればよい。問い合わせは町教委(0739.74.3134)へ。

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