非常勤講師の雇い止め無効 「社会通念上相当でない」

京都地方裁判所=京都市中京区

 関西福祉科学大(大阪府柏原市)で英語の非常勤講師を務めていた京都市の川口剛さん(57)が、勤務状況に問題がないのに雇い止めされたのは不当として、運営する学校法人に地位確認などを求めた訴訟の判決で、京都地裁は19日、「社会通念上相当だと認められない」として雇い止めは無効と判断し、未払い賃金の支払いを命じた。

 大学側は雇い止めの理由として、授業アンケートで教員評価の結果が他の教員に比べ大きく下回っていたと主張。だが、児玉禎治裁判官は判決理由で「全項目で中間評価は超えており、不利益な評価をすることの妥当性は疑問だ」と指摘し、雇い止めは合理的理由を欠くと判断した。

 ただ、有期雇用契約が通算5年を超えた場合に無期契約に転換できることを阻止する意図が大学側にあったとする川口さん側の主張は退けた。

 記者会見した川口さんの代理人の中村和雄弁護士は「非常勤講師が使い捨てのように扱われている状況を改善できたら」と判決を歓迎した。関西福祉科学大は取材に「書面を確認できておらず、コメントは差し控える」とした。

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