歴史的訪問 被爆地ヒロシマは 原爆資料館を40分視察

オバマ元大統領の広島訪問から7年。核保有国をはじめG7各国の訪問を被爆地広島はどのように受け止めたのでしょうか。

歴史的1日は朝から雨が降るなかで始まりました。

被爆者団体連絡会議 田中聰司事務局長「私は死没者の涙じゃないかなと思っている、この雨が」

午前10時半前、平和公園に続々と首脳らが入りました。

最初に到着したのはEU=欧州連合のフォン・デア・ライエン委員長です。

各国の先陣を切ったのはイギリスのスナク首相でした。岸田総理は妻・裕子さんと並んで出迎え、1人1人の首脳と原爆ドームをバックに記念撮影です。

それぞれの首脳がレッドカーペットを進んだ先にあるのは78年前の広島の惨状を伝える原爆資料館です。

核保有国のフランス、イギリスの首脳が資料館を視察するのは初めてです。

最後となったアメリカバイデン大統領を乗せた車列が平和公園に入ったのは、最初の到着から40分ほど過ぎてからでした。

バイデン夫妻「グッドモーニング!ナイストゥーミーチュ!」現職アメリカ大統領の広島訪問は2016年オバマ元大統領以来7年ぶりです。

原爆資料館に全ての首脳が入ったのは午前11時21分。視察中の様子を外から見えないにするためなのでしょうか資料館のガラスは白く覆われ、館内での様子は全て非公開でした。

外務省によりますと館内では岸田総理が直接首脳に対して被爆資料を説明しました。各国首脳は横一列に並び芳名録に記帳しました。

8歳のときに爆心地から2.4kmで被爆し、英語で国外でも被爆証言をしている小倉桂子さんと面会が行われました。

視察を終え首脳が出てきたのは午後0時1分。視察時間はオバマ元大統領より30分長い40分間でした。

歴史的1日を自宅で見守った被爆者の森下弘さんです。もし核が使われたら…首脳への思いです

14歳で被爆 森下弘さん「普通の生活が瞬時にして何十万という人が亡くなる。本当にそういうことがあっちゃ困るんだ、大変だということをしんみりと心の中にね感じ取ってもらえたなら」

原爆資料館の前館長でオバマ元大統領訪問時に案内した志賀賢治さんはそれぞれの首脳が国へ帰っても感じたことを伝えてほしいと願っています。

原爆資料館 志賀賢治 前館長「館内での滞在時間は(オバマ氏訪問時に)私が経験したときより格段に違う。展示全体を見てもらうそこで発する被爆資料のメッセージを受け止めてもらうのは可能だったのでは」

首脳らは資料館視察後に平和公園の原爆慰慰霊碑で並んで献花しました。7カ国の首脳とEU=欧州連合の代表合わせて9人が並び原爆ドームをバックに記念写真を撮影をしました。この様子をテレビで見守っていた被爆者の田中さん。

田中聰司さん「記念撮影だけじゃダメだよ。(原爆慰霊碑の)説明をしないと…行った行った!いやぁよくやってくれた碑文の説明したちゃんと」

首脳は再び原爆慰霊碑に近づき、松井市長から「碑文に込められたヒロシマの心を深く心に刻んでほしい」と説明を受けました。

田中聰司さん「過ちを繰り返しませんからって誓ったことになるんです。バイデン大統領をはじめ7か国の首脳が、誓ったからにはその誓いを胸にサミットの会議に臨んでちゃんと誓った通りに実行してほしい」

原爆投下から78年核保有国を含む首脳は被爆地広島で何を感じたのでしょうか。

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