G7首脳、被爆者と初対面 惨禍を実見、慰霊碑献花

原爆慰霊碑に向かうG7の各国首脳たち(上)=19日午後、広島市の平和記念公園(代表撮影ヘリから)

 先進7カ国(G7)首脳は19日午後、広島サミットの討議を開始した。これに先立ち、平和記念公園内の原爆資料館を史上初めてそろって訪問、慰霊碑に献花した。被爆者の小倉桂子さん(85)とも初対面し、原爆の惨禍の話を直接聞いた。外交筋によると、資料館では原爆投下で壊滅的な被害を受けた当時の街の写真など常設展示の一部を視察した。共同文書「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」も発表。長崎を最後に77年以上、核兵器が使われてこなかった歴史の継続を訴えた。

 岸田文雄首相は「核兵器のない世界」実現に向けた機運醸成を図る。米中覇権争いやロシアによるウクライナ侵攻で国際秩序が大きく揺らぐ中、唯一の戦争被爆国として核軍縮へと結び付けられるかどうかが問われる。

 資料館では、首相らがG7首脳を案内した。首脳の滞在は約40分間。ただ日本政府は、首脳らが見た展示品の詳細や小倉さんとのやりとりの内容などについては明らかにしなかった。岸田首相は19日夜、「準備、調整の過程で訪問内容や、やりとりを非公開とすることになった」と記者団に説明した。

原爆慰霊碑への献花を終え、記念写真に納まる(左から)EUのミシェル大統領、イタリアのメローニ首相、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領、岸田首相、バイデン米大統領、ドイツのショルツ首相、英国のスナク首相、EUのフォンデアライエン欧州委員長=19日午後、広島市の平和記念公園(代表撮影)
G7広島サミットが開幕し、第1セッションに臨む(手前右から時計回りに)岸田首相、バイデン米大統領、ドイツのショルツ首相、英国のスナク首相、EUのフォンデアライエン欧州委員長、EUのミシェル大統領、イタリアのメローニ首相、カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領=19日午後、広島市

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