資料館訪問、短い滞在時間に失望 被爆者「しっかり見て」

原爆資料館を出る(右から)岸田首相とバイデン米大統領(左隣)ら=19日午後、広島市の平和記念公園(ロイター=共同)

 「うれしかった」「しっかり見てほしかった」。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳らが広島市の原爆資料館を訪れた19日。被爆者らは訪問を一定程度評価しつつも、短い滞在時間に失望の声が漏れた。突如浮上したウクライナのゼレンスキー大統領の広島訪問にも驚きと懸念が入り交じった。

 原爆投下国のトップで、各国首脳らの中で最後に到着したバイデン米大統領。芳名帳への記帳や被爆者との面会も含めて資料館滞在時間は約40分だった。

 広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(81)は「全てを見ようとすると1時間はかかる。私たちが見てほしい所を見てくれたのか」と疑問視する。それでも「帰国したら、広島でこれほどひどいことが起きたと話してもらいたい」と願った。

 原爆で父と姉を亡くした今中圭介さん(87)は、物足りなさは残るとしながらも、10分程度だった2016年のオバマ元大統領よりもバイデン氏が長く滞在したとして「うれしかったし、人柄と誠意を感じた」。

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