<レスリング>【2023年東日本学生リーグ戦・特集】藤波朱理(日体大)が審判デビュー

お知らせ

本協会Facebook page / instagramに、動画や写真が順次アップされます。

 

 4月のアジア選手権(カザフスタン)で国内外通算119連勝を達成し、負傷のため明け渡した世界チャンピオンの奪還を目指す女子53kg級の藤波朱理(日体大)が、審判デビューを果たした。各大学から2人の審判を派遣することになっている東日本学生リーグ戦。審判資格の有無にかかわらないため、日体大からは試合のない藤波が選ばれた。

 藤波は、先輩から呼びかけがあったとき、「自分のレスリングにマイナスにはならないだろう。むしろプラスになると思う」と考え、引き受けることにしたと説明する。一昨年の東日本学生秋季選手権では、全日本チャンピオンだった鏡優翔(東洋大)が審判をやっていたことを知っており(関連記事)、トップ選手であっても審判をやってみるべきだ、という考えもあったようだ。

▲学生審判の先輩でもある鏡優翔の隣でジャッジを務める藤波朱理(右=日体大)

 実際にやってみて、「違った角度でレスリングを見ることができました。勉強になりました」と振り返る。最近の藤波は攻撃一方の快勝続きで、微妙な判定でもめるシーンを見かけることもないが、「?」のシーンも皆無ではない。一瞬の判断でポイントを決めなければならないことの大変さを経験。

 選手の場合は、1日数試合に集中すればいいが、審判は断続的に緊張を強いられ、マットサイドで待機しているときも神経が休まることはない。「昼食を食べる時間もないほど忙しい。当りまえのように試合をしてきましたが、審判が一生懸命になってくれてこそですね。当りまえじゃないんだな、と思いました。『ありがとうございます』という感謝の気持ちでいっぱいです」と、審判への敬意を表した。

 また、男子の学生トップ選手の闘いを目の当たりにし、「攻めどきを考えたり、アクティビティータイムでの闘い方など学ぶことが多かった。選手活動に役立てていきたい」とも言う。

▲レフェリーを務める藤波

「女子選手もどんどん審判をやってもらいたいと思います」

 以前に比べると女子審判員も増えた大会だが、まだ男女の比率は大きく違っている。藤波のようなトップ選手でも審判員をやることで、女子選手へのアピールにもなるはず。「選手活動に必ず役立ちます。女子選手もどんどん審判をやってもらいたいと思います」と、レスリング界の懸案事項である男女平等への思いを話した。

 肝心の練習は? 「(夕方に)大会が終わってから、普通にやっています」と、3日間、駒沢屋内球技場から徒歩でも行ける日体大深沢校舎のレスリング場へ向かった。審判で疲れ切った体では大変だろうと思われるが、激戦・熱戦を数多く見て、「モチベーションが上がっていますので、問題ありません」とサラリ。体の疲れを超越するエネルギーをもらい、来月の明治杯全日本選抜選手権(15~18日、東京・東京体育館)へ向かう。

© 公益財団法人日本レスリング協会