水問題、街の変容、残土…リニア”所変われば”異なる関心 沿線メディアはどう伝えているのか?

<UTYテレビ山梨のニュースより>

【写真を見る】水問題、街の変容、残土…リニア”所変われば”異なる関心 沿線メディアはどう伝えているのか?

「静岡県がJR東海に対し、山梨県内のトンネル工事に伴う掘削調査をやめるよう求めたことに対し、長崎知事は山梨の水の問題であり大きく筋から外れていると不快感を示しました」

<山梨県 長崎幸太郎知事>

「大変強い違和感を感じております。正直申し上げて、山梨県内の領域においてこのボーリング調査で出た水、これは山梨県内で出た水ですので、これは山梨県の水だというのが常識的な考え方なんじゃないかなと。静岡の水に影響を及ぶことが科学的に明白だと、この場合は自分のミッションとしてボーリング調査はやめてくださいというのは筋だと思っている」

リニアへの関心度は沿線他県でもまちまち

これはリニア工事のボーリング調査をめぐって、山梨県知事が強い口調で静岡県を批判したという、山梨県内で放送されたニュースです。私たちは、連日のようにこのリニア工事をめぐる問題をお伝えしていますが、沿線のほかの地域のJNN各局では、リニアに関するニュースをどのように扱っているのでしょうか。

リニア中央新幹線の計画を進めるJR東海のおひざ元・愛知県では。

<CBCテレビのニュース>

「名古屋駅西側リニア中央新幹線の工事現場に来ています。きょうも雨の中、重機を使って作業が進められています」

リニアの終着駅・名古屋ではすでに工事が進んでいて、周辺住民の期待も高まるばかりです。

<CBCテレビのニュース>

「こちらは40年以上続くいわゆる町中華の店。すぐ近くではリニア関連の工事が行われていますが…」

<中華料理店のおかみさん>

「街が変化していくっていうのは、なかなか楽しみなもんですから早い方がいいなと。人通りが変わったりするのを期待しております」

さらに…

<記者>

「商店街のすぐ西側には『リニア』と名前のついた新しいマンションが建設されています」

なんと、「リニア」と名のついた高級マンションの建設。名古屋駅から徒歩で約10分、その名は『リニア ゲート タワー名古屋』。入居開始予定は2024年3月です。名古屋はリニア開通をいまや遅しと待っています。

<水野涼子キャスタ->

不動産価格にもリニアが影響を与えていることは地域によってもだいぶ違いますよね。

<影島亜美キャスター>

一方、お隣・長野県では静岡と同じような問題を抱えていました。

<SBC信越放送のニュース>

リニア中央新幹線整備の大きな課題の一つが、トンネル工事で出た残土の置き場の安全確保です。阿智村は土砂災害の恐れがあると指摘されていた計画地で、残土を受け入れることを正式に決定しました。JR東海は村の北部にあるクララ沢の約2.5haの範囲にトンネル工事で出た20万立方メートルの残土を盛る計画を立てています。しかし、この計画地が土石流発生の恐れがある「崩壊土砂流出危険地区」にかかっているため、村は安全性が確認できるまで、残土を受け入れないと主張してきました。

その後、村は独自に専門家の意見を聞くなど調査を進めた結果、JR東海が示した工事設計は、安全と判断。きょうの村議会特別委員会の臨時会でも承認され、村はクララ沢で残土を受け入れることを正式に決定しました。村の決定について住民は。

<阿智村民>

「何があっても(事故などが)起きないようにやってほしい」

「リニアを成功させるにはそういう協力もしなきゃいけない」

<水野キャスター>

残土の処理をめぐる問題は静岡県内でも起きています。

<影島キャスター>

さらに工事が進む長野や山梨では労災事故も相次ぐなど、工事が始まっていない静岡とはまた異なる問題に関心が集まっているようです。ちなみにSBSが過去1年間でWEBニュースに掲載したリニア関連の記事は145本と、他地域と比べてもかなり多くなっています。リニアに対する関心には温度差があるといえそうです。

© 静岡放送株式会社