おおぐま座のレンズ状銀河「NGC 2787」 ハッブル宇宙望遠鏡の画像を振り返る

こちらは「ハッブル」宇宙望遠鏡で撮影された「おおぐま座」の方向約2400万光年先の銀河「NGC 2787」です。明るい輝きを放つ中心部と、その周囲で同心円状に広がる暗い塵の腕のコントラストが印象的な姿をしています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたレンズ状銀河「NGC 2787」(Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: M. Carollo (Swiss Federal Institute of Technology, Zurich))】

ハッブル宇宙望遠鏡を運用する宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によれば、NGC 2787は棒状構造を持つレンズ状銀河(barred lenticular galaxy)に分類されています(ただし、この画像では棒状構造は見えないといいます)。レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河で、渦巻銀河と同じように中央部分の膨らみや円盤構造を持つものの、目立つ渦巻腕(渦状腕)はありません。レンズ状銀河を構成する星々は楕円銀河と同じように古いものが多く、星形成活動もほとんどみられないとされています。

また、画像には単一の星に見える小さな光点も幾つか写っています。STScIによると、これらの光点は1つ1つがNGC 2787の周囲にある球状星団です。球状星団は数万~数百万個の恒星が球状に集まっている天体のことで、天の川銀河でも150個ほどが見つかっています。

冒頭の画像はかつてハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」で1999年1月に取得されたデータをもとに作成され、STScIから2002年4月に公開されていたもので、アメリカ航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡Twitter公式アカウントが2023年5月10日付で改めて紹介しています。

Source

  • Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: M. Carollo (Swiss Federal Institute of Technology, Zurich)
  • STScI \- Tightly Wound Arms of Dust Encircle Nucleus of Galaxy NGC 2787

文/sorae編集部

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