中学生、台湾と交流給食 茨城・笠間の市立6校 パイナップルに舌鼓

台北駐日経済文化代表処の王清要経済部次長(右)らと会話しながら、台湾のパイナップルをメニューにした給食を楽しむ友部二中の生徒たち=笠間市旭町

茨城県笠間市内に六つある全ての市立中・義務教育学校(7~9年生)の給食で18日、台湾産のパイナップルが提供された。市と台湾の行政機関同士で結ぶ「食を通じた文化交流」に関する覚書に基づく取り組みの一つ。このうち、友部二中(同市旭町)では、台北駐日経済文化代表処の次長2人を迎えて、3年生の一部クラスと食事を共にする交流給食も行われた。

友部二中の交流給食には、同処の王清要(おうせいよう)、蔡淳瑩(さいじゅんえい)の両経済部次長を招待。冒頭、パイナップルの贈呈式があり、台湾側を代表する王さんから生徒代表の江川修平さん(14)に、2房を詰めた1箱が手渡された。続いて、菊地仁美さん(14)が「頂いたパイナップルときょうの交流を通し、笠間市と台湾の関係が深まることを希望する」と歓迎の言葉を述べた。

王さんは、台湾と日本の関係を「近い場所にあり、仲がいい友達」と強調した。2021年に台湾で新型コロナウイルスが流行し、ワクチン不足で困っていた時に日本がすぐに届けてくれたことや、地震被害の時も素早く支援の手を差し伸べてくれたことを挙げて、「必要な時に助け合えることは素晴らしく、とてもありがたい」と感謝。「台湾のことをもっと知って、興味を持ってもらい、これからの交流発展につながることを期待している」と話した。

この日の給食メニューは「鶏肉ときのこのトマト煮」「ガーリックサラダ」「パン」「牛乳」。それにパイナップルが付いた。

交流給食は、数人ずつのグループに分かれ、王さんや蔡さんもその中に入って、和やかに会話しながら、食事した。パイナップルを口に運んだ生徒たちは「甘い」「芯まで食べやすい」と舌鼓を打っていた。

王さんと席が隣になった原田直樹さん(14)は、「希望する進路の話から、漁業の話題になった。台湾ではIT系の仕事を希望する人が多いが、漁業は少子高齢化が進んでいるという。日本と似た課題を抱えているらしい」と、言葉を交わせたことを喜んだ。

同市は18年に台湾の台北市に交流事務所を構え、その1周年を記念し、19年7月、中華民国行政院農業委員会農糧署と「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結した。その中で、食育事業に関わり「学校給食等において台湾産バナナを提供」という一言がある。

交流給食は19年11月に始まり、毎年度3~4回行われている。提供される台湾の果実にはバナナのほか、マンゴー、ブンタンもあり、昨年度パイナップルも加わった。台湾バナナの学校給食への提供は、笠間市を介し、水戸市、大洗町、ひたちなか市、八千代町にも広がっている。

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