「大谷石を食卓に」提案 料理用プレートなど開発 漆焼き重ね唯一無二 宇都宮のクロサキ工芸

漆を焼き付けた大谷石のプレートと黒崎代表=宇都宮市

 手作り家具製造のクロサキ工芸(栃木県宇都宮市岩原町、黒崎啓弘(くろさきけいひろ)代表)は、大谷石のプレートに漆を焼き付けたテーブルウエアを開発し、「同じものが二つとない工芸品」として商品化した。現在、大手外食会社やすし店との商談が進んでいるという。室内の装飾品としても活用できるなど、大谷石の新たな活用法を提案し、宇都宮の特産物にしていきたい考えだ。

 黒崎代表は木製の調度品制作で漆塗りを行う中、十数年前から大谷石に漆を施す工芸品づくりに着手した。当初は漆を塗った後に室で乾燥させていたが、思ったような色や風合いが出なかったという。

 試行錯誤を繰り返す中、東京芸術大の講師から、鎧(よろい)づくりに用いられた、金属に漆を焼き付けるという伝統技法の指導を受けたのが転機となった。

 新たに電気釜を導入し、硬めの大谷石に漆を焼き固め、強度や風合いの出し方に関するデータを研究。石の状態に合わせ、漆を塗って焼くという作業を何度も繰り返して完成させる技法を確立した。納得できるものが出来上がったのは昨年12月だったという。

 大谷石自体、切り出したドリルなどの跡やみそ(茶色の斑点)の入り方など同じ表情のものはなく、漆と顔料でさまざまな色彩も表現できる。また、みそに金箔(きんぱく)や夜光貝の象眼を施して高級感を出せるのが特徴だ。

 今回商品化したテーブルウエアは、料理や器をのせるプレート(30センチ四方、厚さは2センチまたは1センチ)と、すしなどをのせるプレート(縦15センチ、横30センチ、厚さ2センチ)。受注生産で、価格は30センチ四方・厚さ2センチが1枚2万~3万5千円、縦15センチのプレートは同1万~1万5千円。

 プレートの素材に端材を用いることで、大谷石の有効活用にもつながるという。黒崎代表は「(商品を)見た人が感動して使い方を提案してくれる。宇都宮ならではの素材を使った新たな特産品として広めていきたい」と話している。

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