ハワイ・オアフ島の鉄道「ホノルル・レール・トランジット」 6/30の開業前に情報を整理! (Hawaii)

ハワイのオアフ島で2014年から建設が進行していた「ホノルル・レール・トランジット」の路線の一部が、ようやく2023年6月30日に開業を迎えますので、要点を整理してお伝えいたします。

©The City and County of Honolulu

オアフ島は、観光客の拠点ワイキキを含む大都市であるホノルル市があり、ハワイの島々の中で日本人には最もなじみのある島です。ホノルル空港の近くでもこの数年間工事が続いていましたので、ハワイ旅行に行った際に建設中の路線を見たという方も多いのではないでしょうか。

そもそも、ホノルル・レール・トランジットって何?

オアフ島の南西部から「東カポレイ ~ ワイパフ ~ パールリッジ ~ アロハスタジアム ~ ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル国際空港)~ カリヒ ~ ダウンタウン ~ アラモアナセンター」という島南側の地域を約32kmの線路で結ぶ鉄道が Honolulu Rail Transit(HART)です。英語の他に、ハワイ語での駅名も割り振られています。

この鉄道は高架区間がほとんどで一般道と交わる踏切がないため、新交通システムに近いイメージの鉄道になり、計画されている全線の開通後には 21駅を約40分 で結ぶ路線になります。

©Honolulu Rail Transit(https://honolulutransit.org/)

上地図左側の、紫色の路線部分が今回開通する部分です。オアフ島では朝や夕方といった通勤時間帯においてはとにかく高速道路の渋滞が激しく、カポレイ地区近隣の人口の急激な増加によりその渋滞が年々悪化しているため鉄道を利用しての移動を促したいというのが、この鉄道路線を作った一番の理由になります。

2012年に建設認可・2014年に建設が開始されてからも、予算増大や資材不足などの理由により何度か完成予定時期の延期が繰り返され、ようやく2023年6月にその路線の一部が開業を迎えるという事になります。この開業を、何年も前から楽しみにしていたという方も多いのではないでしょうか。

最初の開業区間は東カポレイからアロハスタジアムまで

©The City and County of Honolulu

上記が2023年6月に第1期としての開業が予定されている区間です。計画されている路線のうちの西側15Kmになります(全32kmですので、半分弱程度の距離が開業になります)。

西の始発駅になる「東カポレイ駅」があるカポレイ地区は、ハワイでも最も急速に発展している地域で、日本でもおなじみの「コストコ」や「カ・マカナ・アリイ」といった多くの商業施設がそろい、人気ウォーターパーク「ウェット&ワイルド ハワイ」があり、ハワイ大学のキャンパスもある場所です。

カポレイに隣接するコオリナ地域は、海が目の前に広がるラグーンがあり、海岸沿いには「アウラニ・ディズニー」や「マリオット・コオリナビーチクラブ」「フォーシーズンス・コオリナ」といった世界的に有名な高級宿泊施設が立ち並び、ワイキキの喧騒を離れてオアフ滞在ができる島内随一のリゾートエリアとなっています。

今回の開業区間の東端「アロハスタジアム駅」周辺は、フットボールや野球の試合が行われる大規模な球場がありますが、そこで行われる「スワップミート」というハワイ随一の巨大規模フリーマーケットは非常に有名ですので、ハワイ好きな方々にはなじみのある場所かと思います。

また、途中の「パールリッジセンター駅」の近くには、地元に根差した大規模ショッピングモールがあり、ワイキキなどの観光地とは違ったローカルな雰囲気を感じられる場所となっています。

鉄道車両や運行システムは日立製

この路線は米国初の自動運転システムで運行される路線となるそうです。日立製作所の鉄道システムのグループ会社であるアンサルドSTS社が自動運転を行うための鉄道運行システムの全般を支え、日立レールイタリア社が車両の設計や製造を受注しました。全車両は米国カリフォルニア州ピッツバーグにある日立レールUSA(日立レールイタリアの米国事業会社)の工場で組み立てられ、ハワイ州に運ばれました。

©日立製作所

既に、列車がテスト走行している動画なども公開されています。

地元住人の利用がメイン、観光客も利用できそう

まだ空港の最寄り駅が開通していないため、観光客がハワイに着いてすぐに利用するという事にはならないでしょうが、地元の人たちにとっては交通渋滞を避けて移動をするための手段ができる事になります。いくつかの駅前には大きな駐車場が用意されており、近隣エリアから車で駅へ向かい専用駐車場を利用しそこから鉄道に乗り換えることができる「パーク&ライド」といった利用方法が可能で、いくつかの駅前にはバス停も整備されますですので、鉄道とバスを乗り継いでの移動がかなり便利になりそうです。

観光客の利用方法としては、コオリナ地区の宿泊客がバスと鉄道を乗り継ぐことで、パールシティーやアロハスタジアム周辺に行くといった利用方法や、ワイキキ滞在者がバスと鉄道を合わせて利用をすることで、車以外の交通手段ではなかなか行くことのできなかった島の西側地域に行くための交通手段として利用されていくことになると思います。ワイケレのプレミアムアウトレットやカポレイ地区でのショッピング、コオリナのリゾート地域に日帰りで遊びに行くといったことも可能になるのではないでしょうか。

西側のカポレイやコオリナへも、ワイキキから安く日帰り旅行が可能になるか

気になる料金・運行時間は?今後の開業区間延長の予定は?

●料金(2023年開業時)
鉄道の料金は The Bus(市営バス)の料金体系と同一になるようで、18歳以上の大人料金は片道が3ドル、1日の上限料金が7.5ドルなどです。

乗車・支払いには、HOLOカードというものが必要になりますが、各駅でHOLO カードの自動販売機が設置されるようです(カードの価格として2ドルが必要です)日本のICカードと同じように、カードをタップして入場することになります。

The Busと同様に、一度HOLOカードで運賃を支払った後、2時間半以内であれば(バス・鉄道を問わず)別路線への乗り換えが可能になるようです。遠くまでの移動でタクシーを利用することを考えると、格段に安く済みそうですね。

©The City and County of Honolulu

●運行時間
月曜日金曜日:午前5時から午後7時まで
土曜日と日曜日:午前8時から午後7時まで
祝日:午前8時から午後7時まで

●今後の路線延長に関して
第2区間:アロハスタジアム駅~ダニエル・K・イノウエ国際空港駅~ミドルストリート駅までは、2025年の開業予定です。ここまで繋がると、空港から西側方面への移動には、この鉄道を利用できそうです。

第3区間:ホノルル市内の中心部にあたる地域になります。ミドルストリート駅~ダウンタウン~シビックセンター駅までは、2031年までに完成する予定です。

©Honolulu Rail Transit(https://honolulutransit.org/)

上図のオレンジが第2期、緑が第3期として開業する区間です。そこから東に向かう区間の、シビックセンター駅 ~カカアコ~ アラモアナセンター駅までは計画はされているのですが、開業の時期などは明らかにされていません。最近の噂では、シビックセンター駅が終点になるのでは?というものも聞こえてきますが、観光客として訪れる我々としては、是非アラモアナセンターまでは繋がって欲しいと切に願ってしまいます。(さらにその先まで東側に伸びると、大変便利になり、ありがたいですよね)

さて、ハワイ旅行に行った際の楽しみ方に「電車に乗ってみる」という、もう一つ新しいものが加わりそうです。6月30日の開業日以降にハワイのオアフ島に行かれる方は、お時間があれば是非ハワイで最新の鉄道乗車を体験してみてください。
(鎌田 啓吾)

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